vol.154 Rd.12 Turkish GP

07.08.30

レースペースは、悪くなかった。
やはり一発の速さが、課題です。

夏休み明け初戦となったトルコGP。Hondaは7月のフランスGP以来となる、2人そろっての第2予選進出を果たす。しかしセッション後に2台ともにエンジン交換を余儀なくされ、グリッド10番降格のペナルティを科されて、最後尾からレースをスタートすることに。懸命の追い上げを図ったものの、ジェンソン・バトン13位、ルーベンス・バリチェロ17位に終わった。

 エンジンですが、まずバトンは予選中にデータ上に異常が見られ、セッション終了後に交換することを決めました。一方バリチェロの方は、バトンのような問題は見受けられなかったんですが、2日目から使い始めたばかりのフレッシュエンジンに出たトラブルだったこともあって、こちらも点検しました。そうしたら程度の差はあったんですが、同様の問題が出ていて、交換することにしました。

−原因は?
 これだ、というのは、まだ特定できていません。使い方の問題、製造上の問題、両方の可能性を含めて、早急に解明します。

−レース自体は、いかがでしたか?
 やはり、最後尾からのスタートでしたからね。2台とも序盤から積極的に追い上げていく作戦を採ったのですが、限界がありました。ただレースペースを見ると、特にバトンの場合、決して悪くはありません。自己ベストタイムも、フィジケラやクビカと並ぶ総合10番手でしたしね。ただバリチェロの方は序盤から、アンダーステアに苦しめられていましたね。ピットインのたびにフロントウイングの調整などを繰り返したのですが、改善されなかったですね。アンダーステアが強くて踏めない。無理してがんばろうとしても、トラクションが悪くてタイムが伸びないというパターンでした。

−いくつかのチームが採用していましたが、開始時にソフト側のオプションタイヤを使って、スタートダッシュを狙うということは?
  いろんな可能性を考えました。グリッドに付く前の周回でも、両方のタイヤを試しましたしね。今回は両スペックの差が少なく、オプションも十分レースで使えるものでした。ただ、やはり路面に十分ラバーの載るレース中盤以降の方が、性能を発揮できそうだと判断しました。スタート自体はよくても、そのあとペースが落ちてしまう恐れがありましたからね。

−レースペースは悪くなかっただけに、予選一発の速さに欠けていることが残念ですね。
  そうですね。このところずっと、同じような話になってしまっていますけど、アタック中に急に挙動が乱れたりして、なかなか攻めきれないという状況です。タイヤグリップのいい状態で、きっちりダウンフォースを出して、思いきって攻められるクルマ。そういうレベルには、まだ至ってないですね。

−次戦モンツァに向けては?
 全17戦中、もっともダウンフォースが少ない、かなり特殊なコースです。今週からのモンツァテストでたくさんのものを試して、いろいろ投入する予定です。

【プロフィール】 田辺 豊治(たなべ・とよはる)
1960年5月12日生まれ、東京都出身。
1984年Honda入社。入社直後の1年間を除き、常にF1、CARTなどのレース現場の第一線で活躍。
現在は、ホンダ・レーシング・ディベロップメント(HRD)レーステストマネージャー兼ジェンソン・バトン担当エンジンエンジニア