vol.153 Rd.11 Hungarian GP

07.08.09

クルマのバランスをうまく見つけ出せぬまま、
レースが終わってしまいました

1年前には、ジェンソン・バトンが初優勝を遂げたハンガリーGP。しかし今年は初日から、厳しい状況が続いた。ジェンソン・バトン17番手、ルーベンス・バリチェロ18番手からの決勝レースも、バトンは中盤にリタイア、バリチェロは2周遅れの最下位完走という結果に終わったのだった。

 今回はクルマのバランスをうまく見つけ出せぬまま、レースが終わってしまいました。初日からアンダーステアがひどくて、クルマがまったく曲がりませんでした。それを何とか直そうと、いろいろと試みました。初日の午後からは、前回のヘレステストで性能向上が確認できた新しいフロントウイングも投入しセットアップを進めましたが、性能を100%発揮させるところまではいけませんでした。ダウンフォースは向上するのですが、それをうまく安定したクルマのバランスに結び付けられませんでした。

−レースでは2人が、違う作戦で臨みました。
 ええ。バリチェロは柔らかい方のオプションタイヤを履き、軽い燃料でスタートしました。序盤のうちにできるだけ順位を上げようという思惑だったのですが、ひどいアンダーステアが出てしまい、まったくペースが上がりませんでした。それで予定よりも若干早くピットに入れて、固い方のプライムに履き替えました。それ以降のペースは悪くなかったですね。しかしすでに作戦でどうこうできるような状況ではなく、残念な結果に終わってしまいました。

−バトンのリタイア原因は?
 電装系のトラブルでした。スロットルが閉まってしまう症状が出て、途中で止めさせました。

−かなり厳しいレースでしたが、次のトルコはどんな見通しですか。
 トルコのコース特性は、ここよりダウンフォースレベルが低いので、我々のクルマのパッケージとしては、今回よりはいい方向で戦えると思っています。これから約3週間、一応夏休みということで実走テストは禁止されますが、ファクトリーはフル稼働を続けますからね。今回の問題点などを十分に解析して、戦闘力を上げたクルマで次戦に臨みたいと思っています。

【プロフィール】 田辺 豊治(たなべ・とよはる)
1960年5月12日生まれ、東京都出身。
1984年Honda入社。入社直後の1年間を除き、常にF1、CARTなどのレース現場の第一線で活躍。
現在は、ホンダ・レーシング・ディベロップメント(HRD)レーステストマネージャー兼ジェンソン・バトン担当エンジンエンジニア