vol.142 序盤3戦を終えて・その1

07.05.02

トップ2は接戦ながら、
まだフェラーリが強い

2007年シーズンもアウェイ3戦を終え、5月中旬の次戦スペインGPまで数週間のインターバルが空く。序盤を終えてのチーム間の勢力関係、そしてHondaの現状について、中本修平シニア・テクニカル・ディレクターはこう語っている。

−開幕前は、フェラーリが圧倒的に強いと言われていました。確かにメルボルンではフェラーリの圧勝でしたが、第2戦以降、マクラーレンが追いついた印象です。
 それはむしろ、フェラーリの力が落ちたと見た方がいいでしょうね。(第2戦直前に)FIA(国際自動車連盟)がフロアを変更させた影響が大きかったんだと思いますよ。 その結果、相対的にマレーシアではマクラーレンがかなり追いついたということです。

−それでも第3戦のバーレーンでは、マッサがポール・トゥ・ウインでした。
 かなり力関係は接近してきているとはいえ、総合力では依然としてフェラーリの方が上だということなんでしょうね。あのレースでは、アロンソはひどかったでしょう。 彼が下手なわけはないのに、あんな走りしかできませんでしたから。まだ両者にはそれだけの差があるということです。

−特にレースペースで違いが出る?
 そうですね。一発の速さなら、アロンソぐらいのドライバーなら何とかできるんでしょうが、レースの長丁場では、どうしようもありません。

−タイヤの使い方の違いということですか。
 1周100分の1秒程度のほんのわずかな違いなんですけどね。だからレースでは、1秒とか2秒差で終わります。ハミルトンは健闘しましたが、決してマッサを脅かせなかったでしょう。その差はいかんともしがたかったわけです。

−ライコネンは、どうしたんでしょう。
 やはりクルマが決まらなかったんでしょうね。それでもちゃんと3位には入っています。セットアップのちょっとした違いが結果に出てしまいますから。あとはロングラン中の、タイヤの空気圧の調整ですね。経験的にこれぐらいと思っていても、バーレーンでバリチェロのリアタイヤの内圧が上がりすぎてタイムが伸びなかったように、非常に微妙なレベルですが、それでもクルマの挙動はずいぶん変わってしまうんです。

(その2に続く)