バリチェロは、レースカーの方がマシンバランスも良かったので、Tカーから戻しました。すでに予選前のエンジン交換によるペナルティで最下位になっていましたから、ピットスタートでもそれほどの違いはないため、トータルでクルマとして気に入っている方で走ってもらおうとしたわけです。
レースでは、後ろの方で我慢の走りを続けているだけでは面白くありませんから、軽めの燃料で出したんですが、さらに予定よりも3周ほど早めにピットに入れました。これは、前のクルマに詰まってしまう状況を避けるためで、前が空いてからは比較的いいペースで走ってくれましたね。それで順位も、それなりに上げられました。
一方のバトンは、スタートで出遅れたのも響いて、常に誰かの後ろを走っているというレースでしたね。ただある程度前が空いていた時でも、思ったほどタイムが伸びませんでした。「リアのグリップがなくなって、特に高速コーナーでオーバーステアがひどくなった。」と本人は言っていました。もうちょっと早い段階で前が空けば、タイムを詰められたかもしれません。
今のクルマの状態からいえば、それなりのタイムで走れていますが、決してベストタイムは速くありません。1分38秒台ですからね。今のクルマの実力通りなのかなという気がします。もちろん二人とも前がつかえてなければ、トータルタイムはもっと速かったでしょうが、これがレースですからね。まあ戦略としては、打てる手は打ちましたし、とりあえず二人とも予選ポジションより前でフィニッシュできました。団子状態の中ではうまく戦えていると思いますが、団子の中の話をしてもしょうがないわけでね。もっともっとクルマを速くして、予選順位で前に行かないと話になりません。ここは路面温度が高いし、タイヤにも厳しいサーキッ トなので、(レース中の3つのスティントを)均等割りぐらいにするのが、タイヤにとっても一番いいんです。極端に長くしたり短くしても、意味はないんです。でも その中でも何とか前に出ようと、こういう戦略を採りました。
−2連戦で、すぐにバーレーンGPが控えています。
そうですね。テストもできないので、現状のマシンを精いっぱい使いきるしかありません。初日にいろんなことを試すかもしれません。とにかく少しでも追い上げていきますよ。