vol.138 Rd1.Australia GP 開幕戦を終えて(その2)

07.03.30

課題は明確。1日も早く、
解決の糸口を見つけないと。

現時点のマシンでは、序盤3戦は苦しい戦いになりそうだというのが、中本修平シニア・テクニカル・ディレクターの現状認識である。しかし本来持っている潜在能力には、高いものがあるはず。それだけに現在抱えている問題を、1日も早く解決したいという。

−メルボルンのストップ&ゴーのレイアウトは、マシンの今の状態ではやはり非常に厳しい戦いを強いられた?

 そうですね。今年のクルマは高速コーナーや、コーナーからの立ち上がりのトラクションなどは割といいんですが、それを活かせるようなコースではなかったですね。次のセパンは、それよりはいいでしょう。ただ長い直線が2本あって、いずれもハードブレーキングを強いられますから、ブレーキングの安定性に問題を抱えているだけに厳しいですね。他にも(第3戦)バーレーンの回り込む1コーナーや、下りながらのヘヤピンなどもあります。セパンに限らず、ヨーロッパに戻るまでの序盤3戦は、苦しい戦いになると思っています。

−今回は、特に予選で非常に苦労した印象です。

 予選で上位に行くのはむずかしいと思っていたので、レースで速く走れるクルマにしたかったんです。それでレース重視の方向に、マシン作りを大きく振ったんですね。バリチェロは、レース中のペースを見てもらえばわかるように、決して遅くはありません。初日午後、それから土曜日のフリー走行で出しているタイムは、ガソリンを40キロ積んでいるタイムでしたからね。もし予選アタックで2回ともコースを飛び出していなければ、17番手グリッドに甘んじることはなかったでしょう。悪くても1分26秒台に入っていたと思います。

−決して、一発タイムが遅いわけではない?

 いいえ、速くはないです。楽々トップ10に入れる状況ではありません。でもそれにしても、あのポジションではないということです。

−開幕戦の結果を見て、全般的に冬のテストの状況通りという印象ですか?

 そうですね。フェラーリ、マクラーレンは、まったくその通りです。ルノーもそこそこ一発は出してきますが、ロングランペースは決して良くありません。(最後の合同テストだった)バーレーンでは、フェラーリが抜き出ていて、マクラーレンがすぐ下にいて、その後ろでルノーとBMWザウバーが同じようなポジションにいる。さらにその下で、Hondaとトヨタ、スーパーアグリあたりが団子になっている。状況によってはこの3チームが、順位を上下させるという分析でした。それからは、大きく外れていません。予選ではトヨタに負けましたが、レースではバリチェロがトゥルーリに追い付いています。トゥルーリはレッドブルのウェバー同様、予選用のクルマ作りをした印象でしたが、ラルフ(シューマッハ)はレースペースも良かったですね。
 前から話しているように、課題は明確です。起きている事象もつかんでいます。しかしそれをどう解決するかという糸口が見つからず、時間がかかってしまっているんですね。でもとにかくそれを解決しないことには前に進めません。それが直れば、マクラーレンあたりまで行けるとは思っています。ただそれでも、フェラーリにはかないません。だからそれプラスアルファのことをやっていかないといけませんね。でも今はとにかく、この問題を1日も早く片づけないといけないと思っています。