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![]() 前回このコラムを書いたあと、ホンダ・レーシング・F1・チームでは重大な契約がまとまった。ロス・ブロウンが僕らのチーム代表になったのだ。元フェラーリのテクニカルディレクターであり、ミハエル・シューマッハを7度のタイトルに導いた名エンジニア。功績は誰もが知っている。チームにとっても世界中のHondaファンにとっても大歓迎のニュースだ。彼は、F1の勝ち方や、テクニカルチームのまとめ方を熟知している。その指導の下、チームがトップ争いに復帰できることを願っている。ただもちろん、一晩で奇跡が起こるなんて考えているわけではない。2007年は厳しいシーズンだった。実際にマクラーレンとフェラーリに迫ることができるようになるためには、まだ越えなければならない大きな山がある。
![]() テストのあと、ガールフレンドと会い、彼女の誕生日を一緒に祝った。それから英国に戻り、ブラックリーでエンジニアに会って新しいマシンの開発状況を見た。でもまだ、RA108がどれくらい速くなるかについては、予測は控えておこう。 英国には長くはいられず、2日後は日本への飛行機に乗っていた。日本では、PR活動がたくさん待っていた。まず11月22日木曜日に東京に着くと、そのまま都心にあるフジテレビのビルに行き、いろいろな人に会い、インタビューも受けた。フジテレビのビルをよく知らない人のために付け加えると、ものすごく大きくて壮観なビルだ。 それから、もてぎでの「Honda Racing THANKS DAY」。友人のF1ドライバー佐藤琢磨やほかのHondaのドライバーたち、また世界各国の二輪ライダーたちも一緒だった。何万人ものファンに見つめられて、素晴らしい体験だった。 このイベントにはRA107を持ち込んで、ロードコースとオーバルコースを走らせた。デモ走行をするだけでよかったのに、ついついスピードを出してしまった。ロードコースでは、コースが良く分かっていたから良かったけれど、オーバルでは結構怖かったな。F1マシンはオーバルで走るように設計されていないから。 イベントのあとは東京に戻ってディナー。グランド・ハイアット・ホテルにある「けやき坂」という素敵なレストランだった。初めてミシュランの星を獲得したばかりということだったけれど、料理もサービスも一流だった。ディナーを終え、数人でキャバン・クラブへ行って、お気に入りのバンドの演奏を聴いた。このバンド、僕はビートルズのトリビュートバンドでは世界一だと思う。今年の日本GPのあと初めて聴いて、もう感動。この夜もすばらしいライブだった。是非英国ツアーをしてもらいたい! ![]() 翌日の夜は、「Xファクター」という、今英国で人気の番組の収録に行った。これは、音楽の新人発掘番組で、友人のダニー・ミノーグが審査員の1人になっている。とても面白かったよ。 日曜の夜には、オートスポーツ・アワードに出席。BRDCスターズ・オブ・トゥモローへのプレゼンターを務め、友人にもたくさん会った。F1から大勢の人が来ていて、ホンダ・レーシング・F1・チーム関係者も多かった。 翌日は、ウェンブリー・スタジアムでのレース・オブ・チャンピオンズの記者発表。英国代表は、世界ツーリングカー選手権のチャンピオン、アンディ・プリオールと僕だ。何人かのジャーナリストを乗せて仮設コースを走ったりした。イベントは12月6日。今から待ちきれない。 記者発表を終えると、ヘレスに行き、この冬2度目のテストに参加した。このテストでも標準ECUの開発がまた一段と進んだ。それから、スリックタイヤも試した。僕自身、F1でスリックタイヤを履くのは初めての体験だったけれど、なかなか面白かった。ブリヂストンから供給された試験用スリックは、各チーム3セット。これを履いた途端、マシンがこちらの予測通りの動きをするようになった。 どのチームもそうだったけれど、僕らも2009年のレギュレーションに合わせてタイヤ・ウォーマーを使わなかったから、スリックを温めるのにはてこずった。ただ一端温まると、今のグルーブタイヤと比べて1周2秒くらいタイムが縮まった。このテストにはロス・ブロウンも来ていたから、彼の考えをマシンに反映できてよかったと思う。 ヘレスからモナコに戻り、すぐに飛行機に乗ってまたランサローテへ。そこでこのコラムを書いている。マイルスは、僕のために厳しいトレーニングメニューを組んでいることだろう。ランニング、自転車、水泳……。 ではまた。 よいクリスマスを。 ジェンソン |
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