ジェンソン・バトン ダイアリー 2007
1月
 ハッピー・ニュー・イヤー!
 2007年のシーズンに向けて、いますごくワクワクしている。今シーズン、ホンダ・レーシング・F1・チームはかなりいい戦いができるはずだ。
 僕は去年のブラジルでの最終戦以来、F1マシンを走らせていない。早く乗りたくてたまらないんだけどね。ご存知の通り、カートでのトレーニングで肋骨に細かいひびが入ってしまって、3日間あったクリスマス前のテストにも参加できなかった。肋骨はもう治って、1月下旬のバルセロナでのテストには参加するつもりだ。そのときは去年のRA106に2007年のエンジンとギアボックスを載せたコンセプトカーで走る予定になっている。
 12月は、マシンには乗れなかったけれど、忙しいひと月だった。始まりは12月3日の『オートスポーツ』アワード。僕はブリティッシュ・コンペティション・ドライバー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。往年の名F1ドライバー、デイモン・ヒルとマーティン・ブランドルから授与された。2006年のパフォーマンスが、英国『オートスポーツ』誌の読者から評価されたということだから、すごく嬉しかった。
 翌日はロンドンでスポンサー関係の仕事をして、その後モナコに飛んで2日過ごした。肋骨のせいであまりトレーニングはできなかったから、電話ばかりしていたよ。エンジニアにテストの様子や2007年のマシンについていろいろ聞いた。
 週末にはイギリスに戻って、今度はBBCスポーツ・パーソナリティ・オブ・ザ・イヤーに出席した。これは毎年恒例で、イギリスではすごくステータスが高い賞。過去には、ジョン・サーティース、スターリング・モス、ジャッキー・スチュワート、ナイジェル・マンセル、デイモン・ヒルが受賞している。僕は、光栄にも、イギリスのスポーツマン、スポーツウーマンのトップ10に入った。元サッカー・イングランド代表のスター選手、ゲイリー・リネカーからシーズンについてインタビューされた。
 次のスケジュールは12月12日、ロンドンでのレイバンのイベント。カムデンのギャラリーで開かれた。ちょうど、世界的に有名な写真家ミック・ロックの、レイバンのサングラス「ウェイファーラー」に焦点を当てた作品展が開催されていた。面白かったよ。国際的に活躍しているモデルのケイト・モスとか、興味深い人がたくさん来ていた。
 翌日は僕自身がカメラの前に立っていた。雑誌の撮影だ。その後、2006年最後のヘレス合同テストに向かった。ヘレスには2日間いたけれど、まだ肋骨が完治していなかったからクルマには乗らなかった。開発中のパーツについて知りたかったのと、新しいブリヂストン・ポテンザのタイヤがどんなパフォーマンスを見せるのか確認しておきたかった。それと、こういうことは何より体験するのが一番だから、チームのテストドライバー、クリスチャン・クリエンとジェームス・ロシターがマシンについてどう言っていたのかも聞きたかった。
 12月16日にイギリスに戻り、ブラックリーのファクトリーへ直行してシート合わせ。その晩はチームのクリスマスパーティだ。素晴らしかった。1000人以上の人(スタッフとそのパートナー)が出席していた。
 クリスマスはイギリスで家族と過ごした。両親、姉妹たち、甥、姪、皆揃っていてすごく楽しかった。シーズン中は遠征に出てしまって、家族とはあまり会えなくなってしまうからね。
 大晦日にはモナコに戻って、友達と過ごし、新年をシャンパンで祝った。ただ、肋骨が良くなって、モナコ周辺の丘で厳しいトレーニングを始めていたから、あまり遅くまでは飲まなかった。
 これを書いている今は、1月4日。ランサローテへの飛行機の中だ。ランサローテではこの冬2度目のトレーニングキャンプをする。セッションは1日3回。それぞれジムワーク、水泳、自転車、ランニングに分かれている。フィットネストレーナーのマイルス・ジョンソンと理学療法士のフィル・ヤングが合流して僕にはっぱをかけてくれるだろう。楽しみだ。頑張ろう。
 今回の体力トレーニングで、心肺機能と基礎体力をステップアップさせようと思っている。その後も1月いっぱいはハードなトレーニングを続けて、バルセロナでの最初のテストにはベストの状態で臨むつもりだ。
 新車RA107の発表は1月25日にバルセロナで行われる。僕たちは、風洞とデザインオフィスでの開発時間をギリギリまでとったから、新車の発表が少し遅くなってしまった。デザイナーもエンジニアも、このマシンが去年のRA106より格段に進化したと自信を持っている。ただ、毎年のことだけれど、この冬は他のチームも進化しているはずだから、僕らの力を計るのはそれを見てからだね。
 RA107は素晴らしいクルマのはず。速く走らせたい。
< INDEX NEXT >