Hondaのファクトリーからシルバーストーンまでは、クルマでほんの15分ほどの距離。今週末のイギリスGPは、鈴鹿に次ぐもう一つのホームグランプリである。しかしここ数戦は、トップ争いに食い込めないレースが続いている。大きくバージョンアップしたエンジンを投入するこの週末は、どれほどの戦いができるだろうか。
−シルバーストーンも空力重視のコースですね。
ダウンフォースをがっちりつけないといけないですね。高速コーナーがたくさんありますし、路面のミューも高いから、ズルズル滑らせていると、タイヤがすぐにダメになってしまいます。RA106は、高速コーナーが比較的得意で、コーナリングスピードは決してルノーに負けていません。ただし、低速コーナーは弱いですね。その低速コーナーにしても、ルノーに一番差を付けられるのはコーナリング中の速度ではなくて、ブレーキングなんです。
−ブレーキング中の安定性ですか?
そうです。フルブレーキングの際の、車体の安定性が十分ではありません。リアタイヤがロックしたり、ちょっと挙動が乱れやすいです。それで思い切って突っ込むことが出来ません。タイヤのグリップがある時はまだ大丈夫なんですが、周回数を重ねて劣化して来た時は、特に辛いですね。それはバリチェロもバトンも、同じように苦労しています。われわれのクルマの持っている弱点の一つです。メカニカルグリップの問題なのか、空力から来ているのか。おそらくその両方なのでしょう。
それが顕著に出たのが、イモラのサンマリノGPでした。あそこはストップ&ゴーのレイアウトですよね。長い直線でスピードが十分に乗ったあと、フルブレーキングというパターンの繰り返しのために、非常にキツかったです。
−シルバーストーンは得意な高速コーナーが多い分、戦闘力が期待できるのでは?
低速コーナーもありますからね。4月のシルバーストーンテストでは、ルノーとのラップタイム差はコンマ8秒前後ありました。これを今週末、どこまで縮められるか。われわれも、現状で考え得るあらゆるタマは撃っています。まだ「これだ」というものには当たっていませんが、強みを生かせば勝機はあるはずです。
エンジンは今回、比較的大きなバージョンアップをして、パワー、トルクともに上がっています。ドライバーが体感できるほどですから、かなりの改良と言っていいと思います。もちろんエンジンの性能向上だけでは、大幅なタイム短縮は期待できません。しかし今週末のレースでは、少なからず貢献してくれると期待しています。
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