残念な結果に終わった前戦オーストラリアGP。ヨーロッパに戻ってすぐのテストでは、その原因となったタイヤの温まりの問題に関して、さまざまな角度から解決を試みた。
−イタリア・バレルンガのテストでは、オーストラリアGPで出た問題の対策をしていたということですが。
タイヤの温まりが悪いことが、今われわれの抱えている最大の問題です。それをクルマのセッティング変更によって、解決につなげる方法をいろいろと試しました。具体的にはキャンバーとかトー(注:ともに車輪の対地角度調節)を変えたり、タイヤの空気圧を変えたりということです。そうすると温度は上がるのですが、クルマのバランスが悪くなってしまうんです。その結果、コーナリング性能が落ちてしまっては、タイヤ温度がちゃんと上がったとしても、どうしようもありません。そういうところは、ちょっと痛し痒しの結果となってしまいましたね。
ただし、セッティングをこういう方向に持って行けば、温度もクルマのバランスもある程度両立するというポイントは見つけることが出来ました。そうは言ってもタイヤ温度自体が、ルノーに比べて10℃前後低い症状が、根本的に治せているわけではありません。
−冷えている状態からの、温まり方が悪いということなんですか。それとも走行中のタイヤ温度自体が低い?
走行中ウチのクルマは、リアタイヤもフロントタイヤも、タイヤ自体の温度がルノーに対して低いんですね。それでも、通常のレースをしている限りは彼らと遜色のない走りはできるんです。逆に言うと向こうは、タイヤが温まりすぎる、オーバーヒートの傾向がありますね。
−その辺が中本さんの言う、路面温度さえ上がれば勝機はあるという根拠なんですね。
そうです。温度の上がり方自体は、特に遅いわけではありません。タイヤウォーマーを外して、コースに出て行きますよね。その際、タイヤウォーマーでは80℃ぐらいに温めています。それがコースを走っているうちに、コーナリングなどでタイヤに力がかかる結果、それ以上の温度まで上がります。そこまでの上がり方は、ルノーと同じです。
では一番大きな差はどこかというところですが、アロンソがコースに出て行った時のタイヤの温め方は、他の誰とも違うやり方なんです。クルマを左右に激しく振って、温めています。ウチのクルマでも、あれくらい激しく振ることができるかどうか。今回テストした結果では、あそこまで激しくはできないけれども、今のバトンのやり方よりも強い温め方でも大丈夫なことが、今回のテストでわかりました。
(この項、次回に続く)
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