HondaモータースポーツF1中本修平レポート
vol.132「新車RA107の仕上がり具合」



2月に入り、新車でのテストもいっそう本格的になってきた。6日から3日間行われたヘレステストは、天候的には今ひとつだったものの、Hondaは新たな空力パッケージなどをトライした。

−新車RA107は、これで特性の違う3つのコース、バルセロナ、バレンシア、ヘレスを走ったわけですが、現時点での感触はいかがでしょう。
 今回ヘレスの2日目に、ジェンソン(バトン)に去年と今年のクルマを乗り比べさせました。ラップタイムだけを見れば、今のところ2台のクルマはほとんど変わりません。どうしてそういうことになっているのか、今まではデータ上でいろいろ推測していました。それを今回実際に走らせて、ドライバーからのフィードバックなども聞いて、かなり明確にできたと思います。いくつかの項目では、これまでデータには出ていなかった部分で、ドライバーから指摘されたこともありました。
 それを基に、次のバルセロナ、あるいは遅くともその次のバーレーンテストには、対応したパッケージを持ち込もうと思っています。バルセロナでは2台の新車で走りますから、新しい空力パーツなどを、できればドライ路面でいろいろ試せればいいんですけどね。

−旧車と同程度のタイムという、その原因は把握できている?
 できていますよ。新車をシェイクダウンした時から、こうなるだろうなと予想していた通りの状況です。その対策部品ができ上がって、順次投入しているところです。それが次のバルセロナでだいたい揃いますから、その辺りから互角に戦える速さが出せればいいと思っています。

−その原因というのは、主に空力面ですか?
 空力、足回り、いろいろですね。とはいえここまではまだ、タイムをうんぬんするという段階ではないと思います。燃料を軽くして、タイムを出したりもしていませんし。

−まだパッケージとして、完成していないと?
 全然そういう段階ではないですね。現時点の完成度は、今年やろうとしていることのせいぜい50%ぐらいです。重心を下げたり、基本的な変更はもちろん折り込まれていますから、その部分は予定した通りの効果を見せて、タイムも上がってきています。一方で、マシンバランスにかかわる部分は旧車の方がまとまっていて完成度が高いです。新車はまだ、高速コーナーではオーバー気味ですし、低速コーナーではアンダーが大きいんですね。でもそれは風洞の結果から、ある程度見えていたことで、それをもっとダウンフォースの出るパーツを投入するなどして、マシンバランスを改良して行こうということです。
 現時点で見ると、マクラーレンやフェラーリはすでに完成度が高く、速いですよね。ここから開幕戦まで、彼らがさらにどれだけ伸びてくるかはわかりません。(2月下旬からの)バーレーンテストにはほとんどの新車が出揃いますから、今年の動向を占えると思いますよ。その頃にはわれわれも、十分な速さを見せられるようにしたいですね。

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