HondaモータースポーツF1中本修平レポート
vol.131「バレンシアテストを敢行」



1月末から2月はじめにかけてのスペイン・バレンシアテストは、全11チーム中9チームが参加する大規模な合同テストとなった。しかもそのうちの7チームは、新車を走らせた。とはいえ路面コンディションが今ひとつだったこと、そして実走テストが始まったばかりということもあって、マシン間の優劣が見えるというところまではいっていない。

 先週のバルセロナとここバレンシアとでは、コース特性が違うんですね。こちらの方が、低速コーナーが多いですから、コースの違いによるマシンの適合性の確認が主なメニューでした。それから今回、2種類のタイヤを初めて試しますから、その比較もありました。ここはフロントにグレーニング(ささくれ摩耗)が出やすいんです。そのあたりが実際はどうなのかということと、もうひとつ、バレンシアは午後になると強い風が吹くことが多いんです。そうすると、コーナリング中の横風に対する挙動の乱れとかも、どこまで改善できているかを見ることができます。
 ただ今回は、あまりコンディションがよくなかったですね。前半2日間は雨がちで、なかなか路面が乾いてくれませんでしたし、期待していた風もそんなに強くは吹かなかったですしね。

−今回はHondaも含めると7チームの新車がいっしょに走ったわけですが、何か気付いた点は?
 まだ各チームの新車がどうこうというのは、ちょっと早いと思います。ただアロンソはやっぱり、抜群にうまいですね。昨日も1コーナーの脇で見ていたんですが、ウエット路面の中でコースを本当にうまく使っています。他のドライバーとは、ちょっと違っていました。

−今年のタイヤでは、アロンソのようなアグレッシブな進入の仕方だと、負担がかかりすぎるといわれていますが。
 どうでしょうね。ドライビングスタイルだけでなく、クルマの特性にもよりますしね。少なくともうちのクルマでは、丁寧にコーナリングした方が、全体的にタイムはいいです。ただ今のクルマのままで、3月の開幕戦にいくわけじゃなくて、これからどんどん進化していきますから、現時点でのタイムは特に気にしていません。

−アロンソだけがほかより1秒速かったのは、彼の特別さゆえといえる?
 いや、そうともいえないでしょう。それぞれのクルマのガソリン搭載量もわからないわけですからね。

−フェラーリやルノーに関しては、どんな印象を?
 両チームとも、どちらかというとレース本番を見据えた走りをしていたようですね。路面状況があまりよくないときは、軽い燃料で速さを追求するところもあれば、逆にしっかり積んでロングランに集中するところもあります。それはもう、各エンジニアの考え方の差です。当然、単純なタイム比較は意味がありません。とにかく新車での実走テストは、まだ始まったばかり。これからですよ。

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