1月25日、Hondaが2007年を戦うRA107が、そのヴェールを脱いだ。開発の陣頭指揮を執った中本修平シニア・テクニカル・ディレクターは、その開発意図、目指すところをこんなふうに語った。
−いよいよ新車の実走テストが始まりました。
バルセロナはとにかく寒くて、タイヤが本来の性能を出すゾーンまで路面温度が上がってくれませんでした。そのためにタイヤとのマッチングなどは見極められませんでした。でも3日間で200周近く走って、基本的なデータは相当取れましたよ。
−07マシンへの期待度は?
(自分が開発段階から手がけた) 初めてのクルマですからね。いい成績は出したいと思います。自分のやりたいこと、やらなければならないことは全部やるぞと。これから入れ込むことを含めれば、それはできたと思いますよ。
基本的には空力重視ですが、むやみにダウンフォースを増やそうとしたわけではありません。ダウンフォースの最高値自体は、去年に比べて3%ぐらいしか上がっていないんです。でも一方で、低いスピード域では、10%以上上がっています。要は(空力性能の)評価の仕方自体を、変えてしまったんですね。最高にダウンフォースが出るのはストレートエンドで、そこでは逆にダウンフォースは要りません。要らないところのダウンフォースを、追求してもしょうがないですからね。むしろ2速ぐらいで回るコーナーでの、ダウンフォースを追求しました。その意図は、少なくともデータ上は達成されていますよ。
もちろんレース結果は、相手があっての相対的なものですからフタを開けてみないとわかりません。ただこれだけはひとつ、みんなでやり切ろうと言っているのは、シーズン中の開発ペースを11チーム中で1番にしようということです。
開幕の段階で、相対的な力関係は見えると思います。もしかしたら、すごくダメかもしれませんが、それでもあきらめずに最終戦まで追いかける。そしてもし開幕でよかったら、Hondaとはもう勝負にならないというぐらい引き離してやろうと言っています。
去年、シーズン中盤以降にやれたことは、みんなの自信になっています。だから万一序盤で差をつけられても、必ず追い付けると思っています。言葉では今までもチャレンジャーと言っていますが、それを態度で示せたのは去年の後半が初めてだったんですよ。その結果、これがチャレンジャーなんだというものが、チーム内でだいぶ浸透してきていると思います。
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