HondaモータースポーツF1中本修平レポート
vol.128「「2007年始動!」



1月12日のトヨタを皮切りに、フェラーリ、マクラーレン、BMWと、2007年を戦うマシンが続々と披露されている。今年はブリヂストンのワンメイクタイヤ、開発凍結されたV8エンジンと、未知の要素も少なくない。Hondaはどんな戦いを見せるのだろうか。

 年末年始はイギリスで過ごしました。1月2日がもう仕事始めでしたしね。こちらはクリスマスがメインイベントで、正月は1日に休むだけです。設計部隊は暮れの29日まで働いていましたし、休んだのは30日からの3日間だけでした。

−25日に新車発表が予定されています。今年はどんなシーズンになりそうですか。
 どうでしょうね。クルマは基本的には正常進化です。もちろんその中で、さまざまな工夫をトライしていますよ。最新の風洞もでき上がりましたし、そこで採ったデータをうまく使えば、より強力な戦いができると思っています。

−1年前のオフは、V8エンジンへの対応が一番の課題だったと思います。それに対して今年は、ワンメイクのブリヂストンタイヤをいかに使いこなすかということですか?
 そうですね。暮れに何度かテストをして、だいたいこんな感じかなという手応えを掴めたところですかね。ブリヂストンとしては、多少スポットを外してもそれなりに走れる扱いやすいタイヤにしたということでした。ところが最初のバルセロナでは、リアタイヤがすぐにダメになってしまいました。次のヘレスでは、コンパウンドも変わり、われわれも違うアプローチをしました。そのおかげで、まあ何とか使えるかなというレベルになりました。サスペンションも、いろんな種類を試しましたしね。

−エンジンに関しては、どうですか。昨年終盤の仕様を基に、基本的には開発が凍結されますが。
 最高19000回転という制限の中で、いかに効率的にパワーを出せるか、制御系などで調整しているところです。2月第1週のテストには、グランプリ本番で使えるものをテストできるでしょう。

−去年は尻上がりに調子を上げていきました。その勢いがそのまま、開幕戦に持ち込めそうですか?
 そう願っています。でもレースはあくまで相対的なものですからね。こちらがいいものができたと思っても、相手がもっといいものを持ってきたら負けてしまいます。逆にライバルたちの伸びしろが去年ほどでなかったら、十分に戦えます。こればかりは、フタを開けてみないとわかりません。
 年末のテストでは、一発でもロングランでもマクラーレンが速かったですね。それからルノーも最初はちょっともたついている感じでしたが、そのうちに伸びてきました。少なくとも去年ベースのマシンにブリヂストンタイヤを組み合わせた段階では、フェラーリ、ルノー、マクラーレンがトップ3を形成していました。われわれはその下でしかありません。その差はわずかですが、でも厳然としてあります。それを今年のマシンでどこまでばん回するかということです。

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