HondaモータースポーツF1中本修平レポート
vol.105「とにかく一歩一歩、進んで行きますよ」



フランスGPのHondaは2日目の予選で、ルーベンス・バリチェロ14番手、ジェンソン・バトン19番手という今季最悪の結果となった。レースペースは決して悪くなかったものの、遅いクルマに引っかかって前に出られない。さらに次々とトラブルに見舞われ、2台リタイアに終わった。

 バリチェロのリタイアの原因はつかめ切れていませんが、第2シリンダーに失火があったのが、データで出ています。一方のバトンは、データ上は不具合が見つかっていないんです。リタイアする2周くらい前に「エンジンがおかしい」と言ってきて、データ上は異常がなかったので、そのまま走らせました。でもやはり変だとのことで、ピットに入れました。2台とも分解チェックして、至急調べます。

−バリチェロの走行中のペースはどうでしたか。
 あの集団の中では一番燃料を積んでいましたから、その割には悪くないと思います。1分20秒台というのを想定していて、ほぼそのタイムで走っていました。バトンは、前が空いた状態で走らせたかったので、タイミングを計って予定より少し早くピットに入れました。その結果一人で走る分には、1分18秒台で周回できています。レースペースは悪くなかったと思います。上位陣のように1分17秒台が出せなかったのは、彼らがそのペースで走れたレース前半の路面状況の時に、単純に前が詰まっていたからです。
 バトンは今回、予選アタック中に遅いドライバーに引っかかってしまい、上位グリッドに行けませんでした。それがすべてでしたね。いくら一発の速さに苦労していたとはいえ、いくら何でも第2ピリオドにすら進めないってことはありません。前を走行しているクルマは、道をまったく譲ってくれませんでした。あの邪魔のされ方は、ちょっとひどかったです。レース中のペースは、シューマッハやアロンソより速くはなかったですが、他のポイントを取った人たちよりは良いペースでした。フィジケラも含めてね。それだけに残念です。
 もちろん予選では、渋滞に引っかからないタイミングを計ってドライバーを送り出すのですが、第1ピリオド終盤は22人が一斉にアタックしますからね。その中でも、フェアに譲ってくれるドライバーの後ろに付けられるように送り出すなど、できるだけの対応はしています。それでも、まったくのクリアラップは難しいですね。
 次戦以降も暑いレースが続くでしょうが、新しい車体部品をどんどん投入していくつもりです。前回のヘレステストで使えそうなものがいろいろ出てきたので、それをドイツGP前のヘレステストで再度確認します。とにかく一歩一歩、進んで行きますよ。

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