ブリヂストンチームが圧倒的な強さを見せた、今年のアメリカGP。完走9台の荒れたレースになった中、ルーベンス・バリチェロはなんとか6位に食い込んだものの、ジェンソン・バトンは事故に巻き込まれて序盤リタイアだった。結果自体はとうてい満足のいくものではないが、レース現場とイギリスのファクトリーとでGP週末の連携がいっそう深まるなど、成果も徐々に現れてきた。
ブリヂストン勢が、ものすごく良かったですね。一方、ミシュランを履いたわれわれは、リアタイヤのタレが早く、挙動がオーバーステアに変わってしまう、という症状に悩まされました。セッティングで何とかしようとしたのですが、ダメでした。とはいえ、これまでの数戦に比べると、リアタイヤの耐久性はずいぶん良くなりました。路面温度が50℃以上という予想以上の高さになったことが、われわれに幸いしたのでしょう。これまでタイヤ温度を上げられない特性に苦しめられていたのですが、こういうコンディションでは有利に働いたわけです。それでルノーとの差も、ずっと縮まりました。
実は初日の金曜日、第3ドライバーのアンソニー・デビッドソンにトラブルが出てしまいました。固めのプライムタイヤで2回走って、2回ともゴムが剥離してしまったのです。ただそのトラブルがなくても、柔らかめのオプションタイヤでそこそこの耐久性が確認できていましたので、いずれにしてもオプションを選択するつもりでした。
−今回はバリチェロとバトンが、違う作戦を採りました。
バトンは1回目のピットインまで、長めに走る作戦。バリチェロは短めで、軽くしてグリッド上位を狙いました。予選グリッド自体は、大体予想通りです。今回は全般的に、そんなに悪くなかったと思っています。とにかくレースでは何が起きるかわかりませんので、バリチェロは、軽い燃料で上位グリッドを取る作戦で行きました。(バトンは)比較的燃料を積んでも、7番グリッドを獲得できていました。その意味でも、(スタート早々のリタイアは)残念でしたね。
もし序盤のクラッシュがなかったら、今回はマクラーレンに勝てたかもしれません。さらにもうひと踏ん張りすれば、おそらくアロンソも抑えられたでしょう。ブリヂストンが圧倒的に良かったのは確かですが、ミシュラン勢の中では健闘していたと思います。いろいろ手を尽くしてきたことの成果が、少しずつですが出てきて、やっと上向き始めてきた感じです。もちろん、これですべてうまくいったとは思っていませんけどね。
これまでもファクトリーからいろいろ情報を送り、現場のサポートをしてきました。それが今回は、そういう情報を今まで以上に上手に使えました。ファクトリーでのデータ解析チームも、ずいぶん一生懸命やってくれました。
「現場で必ず使ってもらえるから、もっと綿密に解析しよう」と、励ましたりもしました。かなり細かい部分までデータ分析してくれて、すごく良かったです。現場も助かりました。そういうバックアップ体制も、今までに比べれば効果的に機能するようになってきました。半歩前進と言えると思います。
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