HondaモータースポーツF1ルーベンス・バリチェロ『自らを語る』
 

―― モナコではハンガリーと同様の4位。そのレースはいかがでしたか。
RB: モナコは燃料をたくさん積んで予選を走ったが、かなりいいグリッドが得られた。加えて決勝レースでもかなりがんばったおかげで、ほぼ期待通りの成績でゴールできたよ。それも予選順位より上でね。レースのペースがよかったわけではないけれど、ライバルのペースも悪かったね。

―― ところで、どんなコースが好きですか? いい結果が残ったモナコのようなコースなのか、あるいは、もっと高速のコースが好きですか。
RB: 僕は、どんなコースにも自分を合わせようとがんばっている。例えば僕の好きなマニクールはそれほど面白味のないコースだけれど、ハイスピードコーナーがあるのでがんばれる。どちらかといえば高速コースが好きだね。

―― さて、今年乗っているHonda RA106に関して、あなたの感想はどんなものですか。他チームのクルマと比べてまだ性能的に低いということですが。
RB: いいクルマだとは思う。特に、新しいタイヤを装着したときの走りは素晴らしいものがあるね。アンダーステアにもならないし、オーバーステアにもならない。ただ、エンジンはドライバビリティに少し問題があり、トラクションは不足気味なんだ。他のクルマと比べて性能が低いといったのは、そういう点だね。クルマの動き自体はそれほど悪くないよ。いま一番欲しいのは、コーナー立ち上がりの性能だね。もう少し速く立ち上がれるようになって欲しい。

―― では、あなたのドライビング・スタイルに関して尋ねます。独自のスタイルを持っていると思いますが。
RB: 僕はブレーキングにおいて、リアエンドがしっかりしているクルマが欲しい。これが僕のメイン・リクエストなんだ。ハンドリングに関しては、知っての通りアンダーステア過ぎてもオーバーステア過ぎてもクルマは速く走れない。僕の考えでは、クルマがコーナーの中にあるときから出口に向かうところでオーバーステアになるのが理想的なんだ。だから、ブレーキングでリアがしっかりと付いてきてくれて、さっき言ったような動きでコーナーを抜けるのが、僕のドライビング・スタイルだといえるね。

―― 自分のドライビングはどうやって習得しましたか。誰かから吸収したとか。
RB: 自分で見つけたよ。僕は自分のドライビング・スタイルはレースを始めたときから変っていないと思っている。しかし、常に学習しているので、常に上達はしていると思っているよ。

―― そのスタイルはクルマによって変ることはありませんか。
RB: スタイル自体は変わらない。学習はしているよ。例えばフェラーリからHondaに来て、今のクルマに合わせる必要があったけど、それは短時間でできたと思う。これは、常に向上しようとしているからなんだ。

―― 誰かとドライビング・スタイルに関して話すことはありますか。例えば同郷の友人でホンダ・レーシング・F1チームのジル・ド・フェランと話すとか。
RB: ドライビング・スタイルはとても個人的なものなので、他人とそれに関して話すことはないよ。誰かから習えるものでもないからね。誰かが走っているのを見てそこから何かを学ぶことはできるけれど、まずは自分がしっかりと自分の走りを持っていることが大切だ。

―― 他のスポーツ、例えばテニス、野球、ゴルフなどではプロの選手にもコーチが付いています。しかし、レーシング・ドライバーにはコーチはいません。これはどう思いますか。
RB: 繰り返しになるけれど、ドライビング・スタイルはとても個人的なものだし、ドライバーのコーチはドライバーでなければいけない。でも、状況は変化しているわけで、誰かが何かを言っても、その時にクルマがどういう状態だったか知っていなければ正しいことは言えないんだ。そのクルマのことを知っているのは運転している自分だけだよ。

―― よくわかりました。最後に、ホンダ・レーシング・F1チームでドライバーとしてF1グランプリを走ることに満足していますか。これから先の目標も教えてください。
RB: みんな素晴らしい仕事をしている。そんな人たちの仲間になれたことを大変誇りに思っているよ。努力すれば必ず成績は付いてくる。だから、僕はこれから先も、自分の意見をしっかりと持って、Honda RA106を速いクルマにするために、ホンダ・レーシング・F1チームを早く強いチームにするために努力するつもりだ。それができると期待されたから、僕はHondaで走ることができているのだと理解しているよ。

―― ハンガリーでのジェンソンの優勝は、その第一歩だといえますか。
RB: いえると思う。我々チーム全員の弛まない努力が実を結んできた証拠だろう。僕はホンダ・レーシング・F1チームのメンバーになれたことに誇りを持っているし、チームの成長に向けて努力は惜しまないつもりだ。今度は僕が優勝を狙うよ。

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