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イギリスGPとカナダGPでは、RA106がグリップに苦しみ厳しいレースを強いられた。でもその後のアメリカGPでは、マシンのスピードは充分。予選もうまくいった。だから、あの第1コーナーさえなければ…かなり上位でポイントを稼げたはずだった。
実際、チームメートのルーベンス・バリチェロは6位に入ったんだから。これにはみんな元気づけられた。今後は期待できる。ホンダ・レーシング・F1チームは今、コンストラクターズポイントで4位につけている。この順位は僕らの底力を示していると思う。
残念なことに、イギリスGP、カナダGPではそれがかなわなかった。どちらのレースでもトラブルが発生してしまってね。でも、それももう解決されたはずさ。
シルバーストーンでは予選のせいで散々だった。第1ピリオドの最中、重量測定に呼ばれ、それで時間がなくなって2回目のアタックが最後までできなかった。結局そこで脱落。グリッドは19番手だった。このミスで学んだことは大きいよ。でも母国グランプリでこんな後ろからのスタートなんて。がっかりした気持ちは拭いきれなかった。去年は最前列からのスタートだったっていうのに。
レースでは、スタートから8周はうまくマシンを操ることができた。他のマシンを次々に抜いて、12番手まで順位を上げた。でもそこでオイル漏れだ。結局リタイア。ただ、ピットまで歩いて戻る途中でファンから大きな声援を受けて、僕はまだ英国の人たちからこんなに応援してもらっているとわかり、すごく嬉しかった。
このレースの後、モンツァに直行して3日間のテストをこなした。カナダGPとアメリカGPはダウンフォースを少なくするから、それに備えるには絶好の場所。低ダウンフォース用のテストでマシンはすぐに速くなった。いい感じで開発が進んだ。テスト最終日は僕がトップだったから、北米2連戦を前に良いタイミングでチームが盛り上がった。
でも、モンツァのテストではあんなに速かったのに、カナダGPでは同じようにいかなかった。レースでマシンのハンドリングに悩まされた。結果は9位。ポイント圏外に終わってしまった。
カナダGPが終わってアメリカGPまでの間、トレーナーのフィル・ヤングと友達2人と一緒にニューヨークで何泊かした。あそこは途方もない、すごい街だ。行くといつも楽しい。滞在中に野球の試合を見に行ったんだ。ヤンキース対ブレーブス。ヤンキースが4対3で勝った。野球を見に行ったのは初めてだけど、すごく楽しかった。ヤンキースの帽子とTシャツまで買ったよ。
カナダGPの翌週だから、マシンは変えずにアメリカGPに臨んだ。でもマシンは元々サーキット・ジル・ヴィルヌーヴよりインディのレイアウトに合っていたから、ちょっとセットアップを手直しするだけでぐんと良くなった。金曜には1時間のプラクティスセッションが2回あって、その両方でチームのサードドライバー、アンソニー・デビッドソンがトップ。それで皆の士気が一気に高まった。
ルーベンスも僕も予選トップ10内。ルーベンスは6位でフィニッシュしたけど、僕は第1コーナーでやられた。7番手から最高のスタートを切って第1コーナーのブレーキングポイントまでに順位を2つ上げたんだ。なのにファンパブロ・モントーヤにぶつけられて、後はまるでピンボール。ファン・パブロには十分なスペースを空けたつもりだよ。かなりのスペースだった。それがどうしてあんなことになったのか。単にアンダーステアになって僕に突っ込んできたのか、他のマシンに当てられたのか、いまだに分からないけど、とにかくその衝撃で僕はニック・ハイドフェルトの進路へと突き飛ばされ、そこら中をスピンして回る羽目になった。
事故の後も何とかRA106を走らせることはできたけど、残念なことにマシン内部が致命的なダメージを受けてた。エンジニアから無線で水圧が急激に落ちているって知らされた。タイヤ交換のためにピットに入ったけど、結局リタイアするしかなかった。第1コーナーの玉突き事故では僕以外に7台ものマシンがリタイアした。ポイントを獲得する絶好のチャンスを逃してしまった。
あのレースの後すぐスペインに直行した。ヘレスで大切なテストがあったんだ。空力とエンジンをあちこちアップグレードして、僕自身かなり良い印象を受けた。次のレースではいくつか新しいパーツを使う。そのフランスGPは7月16日。あそこでいいラップタイムを刻むためには、空力の効率が最重要になってくる。
でもその前に、僕は英国で開催される著名なヒステリック・モータースポーツ・イベントの「グッドウッドフェスティバル・オブ・スピード」に行くことになってる。そこでRA106をデモ走行するんだ。このフェスティバルに出るのはこれで7回目だけど、毎回楽しいよ。友達が一緒だし雰囲気も最高だからね。
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