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スペインGPとモナコGPは、Hondaにとって正反対の結果だった。
バルセロナでのパフォーマンスは励みになった。予選ではセットアップに問題があって、最後のタイヤセットで手間どったから8番手スタート。でも、レースではマシンがぐんとよくなった。キミ・ライコネンに1.4秒差の6位。序盤でルーベンス(・バリチェロ)に少しタイムロスさせられたんだけど、あれがなければキミとの差はもっと縮まっていたんじゃないかな。
あのレースでチームの士気は一段と高まったよ。マシンのパフォーマンスは明らかに良くなっていた。スペインGP後は、期待に胸ふくらませてバレルンガでのテストに向かった。
バレルンガでは2つのテストプログラムを行った。1つは、市街地コースであるモナコのカーブに焦点を合わせたもの。もう1つはカナダGPのエンジン全開ストレートを想定したものだった。バレルンガはどちらかと言うと遅いコースだけど、アスファルトがモナコとモントリオールに似ている。この2つのレースを想定してミシュランのタイヤをテストできるというわけ。
モナコ用のテストでは、マシンはスピードも充分で様々な変化にもうまく対応してくれたから、自信が深まった。バレルンガはすごくバンピーで、肉体的にかなりきつい。ひどいデコボコがいくつかあって、その度に頭をコックピットの壁にぶつけたよ!これがモナコへのいいトレーニングになるからと、自分に言い聞かせてたけど…。
その後、モナコへ飛んだ。PRの仕事で、コースをホンダS2000で走り、船上でインタビューを受けたりした。
モナコの自宅で1日過ごして、今度は英国へ。デビッド&ビクトリア・ベッカム夫妻のプレ・ワールドカップパーティに出席したんだ。パーティのテーマは「等身大」と「途方もない」。それで僕は、車体をユニオンジャックの色にカラーリングした途方もない姿のS2000で会場に乗りつけたんだ。
すごいパーティだった。素敵な人たちにたくさん会えた。サッカーのイングランド代表とか、モデルのエル・マクファーソンとか。ベッカムはすごくフレンドリーだった。車が大好きなんだって。それで、彼が普段乗っている車の話で盛り上がった。それにものすごくF1に詳しいから驚いたよ。
パーティとしても素晴らしかったけれど、今回のイベントはUNICEFの基金集めとベッカム夫妻の子供たちのチャリティイベントでもあったんだ。僕はオークションにヘルメットを出品したよ。
翌朝モナコに戻り、レースの準備。ここ2年、レイアウトは変わっていないけど、アスファルトが塗り替えられたからグリップが大きくなっている。モナコGPは大好きだ。コースはすごくチャレンジングで、雰囲気はいつも一種独特。バリアが近くて危険だという声が多いけれど、僕はいいと思う。カードレールのおかげでF1のスピードが体感できる。時速300マイルっていう法外なスピードで走っているような気分になれるんだ!
木曜日から準備は順調に進んだ。でも予選で、僕は最終ピリオドに進むことができなかった。今年初めてだ。第1ピリオドは予定どおりだったし、第2ピリオドでも古いタイヤで走った時は良かった。それが新しいタイヤにした途端、想像外のアンダーステアで、タイムを縮めることができなかった。結局13番手スタートだ。
マシンの状態が良くてもモナコで78周走るのはけっこうきつい。あの時の僕のようにオーバーステアに悩まされていたら余計だ。リアタイヤが駄目になってしまったせいで予定より早くピットに入った。その後は渋滞にひっかかって、フィニッシュは11位。忘れたいレースだ。
モナコからバルセロナへ。セットアップの問題を解決し、イギリスGPの準備をするためだ。テストは順調。あとは6月11日、地元ファンの前でいいレースをすることだけを願っている。トップに食い込むのはかなり厳しいと思うけど、とにかく全力で戦う!
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