HondaモータースポーツF1中本修平レポート
VOL.79「年末テスト、すべて終了!」
Honda Racing F1 Teamはスペイン・ヘレスで、17日まで2週連続のテストを行った。これで年内のテストスケジュールは、すべて終了。つかの間のクリスマス休暇を経て、年明けから再び本格的なテストが始まる。

 ヘレステストは、総じて順調でした。いくつか細かいトラブルが車体にもエンジンにも出ましたが、設計を見直さないといけないとか、そんな深刻なものではありません。いわゆる初期トラブルの範疇です。
 今年の新車投入は、1月25日にバルセロナのカタルニアサーキットで行いますが、1年前に比べて10日ほど遅いので、去年の同時期に比べて、メニューの消化具合は順調でした。ハイブリッドマシンでのテストに時間と人員を割くことが出来ましたから。
 それから新型ギアボックスなどの工期が、以前に比べて飛躍的に短くなったことも大きいです。カーボンファイバー製のギアボックスは2年前から作っていますが、当時は1基作るのに1ヶ月かかりました。それが今は、10日ほどでできてしまいます。製作技術も上がりましたし、デザインそのものも作りやすいものになっているからです。
 11月末から3週間にわたって、バルセロナとヘレスでテストを続けてきたわけですが、けっこうよかったですね。新型V8エンジンはV10に比べると、どうしてもトルクが細くなります。ドライバビリティの悪化を、一番心配していたわけです。トルクの山を、はたしてどこまで調整できるか。パワーを出すためには、もちろん回転を上げるのが一番なんですが、そうすると低中速域でトルクがやせてしまう。
 そのあたりを最初のバルセロナテストで確認して、改良パーツの製作にかかりました。ヘレスの2週目にそれを試したんですが、ドライバーの評価も良かったです。これで見通しも立ったので、年明け早々にはバージョンアップしたエンジンを投入できると思います。そして1月下旬からは、レース仕様エンジンを走らせることになるでしょう。順調なスケジュールで進んでいます。
 車体に関しては、やはり最重要課題は空力です。これは今のところはまだ2005年仕様で走っていますから、本格的なテストは年明けになります。でもこの段階でも、そこそこのタイムが出せたのは、いい兆候だと思います。あくまでライバルチームとの相対評価ということですから、絶対的な数値としては、まだまだですが。
 今回の一連のテストは、課題を明確にして、対策を検証する。そうやって開発の方向性を明確にするのが目的でした。エンジン、車体両方で、それは達成できました。もちろん、これからやることは山ほどありますが、いい感じで年が越せそうです。

次回の中本日記の更新は、2006年1月12日の予定です。
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