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今季のジェンソン・バトンは、目標の初優勝は果たせなかったものの、難しい状況の中で巧さを発揮した。「あとは一皮むけてほしい」というのが、中本現場監督の注文である。
ジェンソンは、タイヤの使い方が上手です。もともとうまかったんでしょうが、去年のレギュレーションではレース中のタイヤ交換が可能で、ピットインのたびにニュータイヤに交換していたので、その上手さがそれほど目立たちませんでした。それが今年のレギュレーションでは予選、決勝を通じて使用できるタイヤは1セットなので、予選アタックからレース終盤まできっちりタイヤ性能を発揮させなければいけません。そのうまさが際立っていましたね。
―フランスGP以降、10戦連続してポイントを獲得した。この安定性もすごい。
もともと、クルマさえちゃんと作ってあげれば、あれだけの成績は上げられるドライバーですね。
―一方で、カメラマンがコース脇で撮影していて、「すごみは感じない。いつの間にか速い」とよく言っています。
クルマの扱いが丁寧だからでしょう。琢磨君とジェンソンの走りを比べると、ジェンソンはクルマを丁寧に扱い、琢磨君はクルマと戦っている印象です。琢磨君がスパッとカウンターを当てる時の、あの反射神経はスゴイ。一方でジェンソンは、そういうのはあまり見たことがありません。そういう状態に陥る前に、何とかするということかもしれませんね。
―来季に向けての、注文があるとすれば。
前から言っていますが、どん欲さが足りません。テストでも、レースの週末でも、いつ走っても「クルマはいい」って言うんです。けれども、クルマがいいのならば、どうしてこんなタイムしか出せないんだって、私は言うんです。もっと、ここが悪い、あそこが悪いと突っ込んでほしいんです。
―どんなクルマでも、それなりに乗りこなせてしまうということですか。
それもあります。ジェンソンの場合は、クルマの状態イコールラップタイムにはならないんです。それが琢磨君との大きな違いのひとつです。琢磨君はどん欲に、なんとかしてクルマを良くしようとします。それが、自分が速く走れる近道だと知っているから。 ジェンソンには、もう一皮むけてほしいですね。彼は勝ったことがありません。勝ったらどうなるか、もしかしたら化けるかもしれません。それを期待しています。 |
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