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2レース1エンジンという高いハードルが設定された、2005年。開幕当初のHondaエンジンは開発の遅れに手こずったものの、その後はほぼ順調に改良を重ねていくことができた。
開幕当初は、設定目標に全然届いていませんでした。耐久性、パフォーマンスともに。まあ耐久性は、たとえばエンジン回転を下げるとか、使い方次第でいくらでも出せるんですけれど、そういう使い方をすれば、当然パフォーマンスは落ちるわけです。
―それが向上したのは、いつ頃から?
エンジンは車体に比べると、比較的早かったです。(第3戦の)バーレーンには、もうほぼ目標に届いていました。どこが悪かったかというのは、特定できていましたので、あとは対策部品を、いかに早く作れるかにかかっていました。その後ヨーロッパラウンドに入ってからは、開幕戦で目標としていた数値をほぼ達成したものを投入できましたね。
―去年はエンジンの信頼性で苦労しましたが、今年はマレーシアで壊れた以外は、エンジントラブルはありませんでした。
そう。マレーシアにしても、エンジン本体に問題があったわけではなくて、油圧センサーを取り付けているステイが壊れたのが、直接の原因でした。今年は信頼性の点では、圧倒的に良くなっています。2レース1エンジンという去年より高いハードルがあったけれど、それはクリアできました。あとは、パフォーマンスを上げていきましょうと、そういう感じでした。
―1レース1エンジンだった去年のエンジンのレベルは、いつの時点で超えたのですか?
バーレーンで投入した仕様でも、昨年のエンジンに対して、中低速のパワーは同等以上に出ていました。ピークパワーも含めて全域で去年の最終戦のレベルを超えたのは、トルコGPです(注:8月下旬の第14戦)。ただし、それ以降のピークパワーの伸びは、それほど大きくはありません。というのも、ピークパワーにこだわるよりも、レース中に使う回転数を高くしようとか、そちらの方向に精力を注ぎました。レースで強いエンジンを目指したということです。
―エンジン単体の比較は難しいかと思うんですが、今季の各エンジンの優劣はどうですか。
予選での回転数を見る限り、トップチームはほぼ横並びと言っていいでしょう。ただし、回転数だけでは、パワーは計れません。ライバルチームの性能は車速とエンジン音から割り出すんですが、解析にはなかなか時間がかかるんです。
今年チャンピオンになったルノーは、ピークパワーもトルクも決してトップではないんです。しかし、ギアレシオを低めに設定することで、エンジンの不利をカバーしています。
―それでも最高速が速いのは、やはり空力性能が優れているから?
それが一番大きいですが、メカニカルロスの差もあります。たとえばルノーは、フロントタイヤのウォーマーを、ちょうど二等分の長さに調節してタイヤに巻かないと、長い方、つまり重い方にずり落ちてしまうんですよ。アクスルシャフトの回転抵抗が低いので、回転してしまうんですね。この差は、かなり大きい。そういうところが、実際に走った時の性能差となって出てきていましたね。
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