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マクラーレンとルノーの桁外れの強さばかりが目立った、2005年シーズン。しかし中本修平エンジニアリング・ディレクターは、「シーズン中の開発ペースは、決して彼らに負けていなかった。すべては、最初のつまずきが後々まで響いてしまったから」と分析する。
―去年まではフェラーリが常勝チームで、それをベンチマークに開発を進めていた。ところがフェラーリは、今季大不振にあえぎました。目標の対象を誤っていたということはありませんか?
それは、ないです。フェラーリが去年一番強かったんだから、(目標にするのは)当然ですよね。目標はあくまで、ここまでの数値を達成したいということですから。それがフェラーリではなくて、ルノーやマクラーレンでも変わりません。去年のマクラーレンに勝てればいいという目標にしたら、目標数値は、全然低いレベルになっていたでしょう。
―フェラーリをベンチマークにしたこと自体は、間違いではなかったと?
それは間違いではないし、掲げた目標も間違ってはいませんでした。しかしその目標数値を達成できない状態で、開幕戦に行ってしまいました。開幕戦は本当にひどい状態で、レッドブルにもザウバーにも負けていました。それを、1日でも早く追い付こうと開発を進めて、クルマはどんどん速くなっていきました。シーズン中の開発ペースは、ルノーとは同等でした。マクラーレンに対しては、開幕時点での差は、それ程大きくなかったのですが、バーレーンに投入してきた仕様で大きく離されてしまいました。その後の開発ペースは同等だったのですけれどね。でもベースの部分でのパフォーマンスが劣っていたために、その差が最後まで詰められませんでした。
それだけに、もし事前に立てていた目標のレベルに(開幕戦の時点で)行っていたら、彼らと三つどもえでシーズンを戦えていたと思います。
―シーズン中、特に中盤辺り、ルノーに肉薄している時期がありましたよね。
ルノーは開幕時点のポテンシャルが高くて、その差を最後まで詰めることが出来ませんでした。確かにシーズン前半は、あまり伸びがありませんでしたので、シーズン中盤には我々も近いところまで行きました。ところが途中から、また盛り返してきて、離されてしまいました。一方マクラーレンは、開幕当初はけっこう低いところにいたのだけれど、そこからの開発のスピードと成果が際立っていましたね。われわれもそれに負けないくらい、ずいぶんいろんなものを繰り出したんですが、やっぱり最初の差が響きましたね。
(次回からは、車体、エンジン、レース戦略、ドライバーなど、各分野での総括です。) |
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