HondaモータースポーツF1中本修平レポート
VOL.62 「悲喜こもごものドイツGP」
サンマリノGPが幻の表彰台だったとすれば、今回初めて、正真正銘の3位表彰台をバトンが勝ち取った。一方、重い燃料を積んだ作戦でスタートした琢磨は、直後にフィジケラ(ルノー)に追突。十分可能性のあった入賞のチャンスを失ってしまった。

 琢磨君は4コーナーの加速部分で、フィジケラがスピードを緩めた形になって、追突してしまいました。フロントウィングが飛んでしまった以外にも、空力部品が外れていて、その後の走行ペースも思ったほど上がりませんでした。ジェンソンに比べても燃料をかなり積んでいただけに、行ける手応えを持っていたんですけれどね。
 
―二人の作戦を変えたのは、出走順の違いから?
 
 そうです。琢磨君の方は、上位グリッドを獲得できる可能性が低いのなら、最初から燃料をたくさん積んで、できるだけピットインの時期を遅らせて順位を上げる作戦です。クルマの仕上がりは悪くなかったので、ポイントは十分狙えました。フィジケラのペースを鑑みても、彼の後ろ(5位)ぐらいでは、フィニッシュできたでしょう。
 
 ジェンソンの方は、(ミハエル・)シューマッハも抜けたし、クルマはよかったと思います。これまでフェラーリに抜かれる光景は、嫌になるほど見せられましたけれど、抜いたのはおそらく初めてです。
 
―シューマッハにしばらく通せんぼされて、タイムロスしましたよね。あれがなかったら、モントーヤ(マクラーレン)に先行されず2位表彰台にも上がれていたのでは?
 
 そうかもしれませんが、レースですからね。例えばもしモントーヤが予選で上位にいたら、決して抜けなかったでしょう。マクラーレンと比べると、まだまだ差は大きいです。ルノーも、マクラーレンほどの差はないけれども、速いですね。特にアロンソが。でもフィジケラとは今回は、十分勝負ができました。
 
―マクラーレンはともかく、ルノーとの差は詰まっているという認識ですか。 
 
 そうですね。優位な状態ではないし、表彰台も実力で取れるとは言い切れません。けれども、エンジンもよくなっているし、車体性能も向上しています。ルノーとの差は、少しずつですが詰まっています。
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