HondaモータースポーツF1中本修平レポート
VOL.60 「早く琢磨に、点を取らせたい。」
B・A・R Hondaの、そしてジェンソン・バトンの地元グランプリ。英国F3を勝ち抜いてきた佐藤琢磨にとっても、第二の故郷と言える。しかし琢磨は、フォーメーションラップでエンジンが止まってしまい、最後尾から先行車を追い上げる苦しい展開。16位に終わった。一方、フロントローを獲得したジェンソン・バトンは、5位入賞。2戦連続ポイント獲得を果たすが、上位2チームとの差は、依然として大きいのだった。

 琢磨君のエンジンが止まってしまったのは、彼の操作ミスでした。ピットストップの回数を、すぐに1回ストップ作戦に切り替えて出そうとしました。しかしギアが入ったままだったので、強制的にクラッチを切って、一度ピットに戻さざるを得ませんでした。その解除に手間取り、コース復帰が遅れてしまいました。
 
−ペースは悪くなかった。
 
 レース中のタイムは、燃料をたくさん積んでいるわりには速かったです。タイヤも大丈夫でした。2日目までは、トラブルが出たりセッティングが決まらなかったりといろいろあったけど、でもロングランは全然心配していませんでした。それだけに、残念でしたね。
 
 本来の作戦では、1回目のピットインはジェンソンがまず入って、その1周後に琢磨君でした。普通に走っていれば、ポイントは取れていたでしょう。ジェンソンについては、やれることは全部やりました。上の2チームが速くて、5位が精一杯でした。
 
−先週のフランスで実力通りの結果といっていましたけど、今回もそういう感じですか?
 
 そうですね。タイヤの調子によっては、フェラーリと絡むことはあると思っていました。一方、マクラーレンとルノーに関しては、まだちょっと届いていません。いろいろやっていますけれど。
 
−北米からヨーロッパに戻ってきて最初の2戦の結果を、どう見ますか。
 
 まだ上の2チームと勝負できるところにはありませんね。全部の力を出し切るレースになると、こんな感じです。総合的にはまだ、今もマクラーレンが上だと思います。最終周に、最速タイムを叩き出すんですからね。大したものです。
 
−次のドイツGPに向けては?
 
 いろいろ予定しています。次のへレステストでは、新しい空力パッケージも試すつもりです。エンジンは、それほど大きな仕様変更ではありませんが、ニューバージョンを投入します。とにかく今のようにトップチームと差を付けられたまま、放っておくつもりは全然ありません。いろんなものを繰り出して、戦闘力を上げていく。そして早く、琢磨に点を取らせたいですね。
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