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HondaモータースポーツF1中本修平レポート
VOL.53「F1エンジンは、ワインのように寝かしておけないんです。」
今週末のヨーロッパGPで、B・A・R Hondaはほぼ5週間ぶりにレース復帰を果たす。その間に参加したポールリカールテストで再び最速タイムを出すなど、好調は維持しているように見える。とは言え久々の実戦ということで、不確定要素もいろいろありそうだ。

 モナコGPはTVでちょっと観ただけなんですが、マクラーレンのクルマがすごく速いなあと思いました。一方のルノーは、タイヤの異常摩耗で失速しましたね。実際これまで一緒に戦っていたレースでも、選ぶタイヤを見ている限りは、タイヤにきついクルマなのかなと思っていました。ただし、今回のモナコに関しては、現場にいませんでしたから、あの摩耗の原因が本当はどういうことだったのか、はっきりしたことは分かりません。

―モナコ前のポールリカールテストでは、また最速タイムを出しています。全体の感触としては、悪くないですか?

 そうですね。少しずつ良くなってますね。ただあの時も、マクラーレンは速かったですし、ルノーも相変わらず速いです。うちはポイントが無くなって、最下位チームですから、地道に追い上げていかなければなりません。

―特に空力ですか。

 ええ。その部分が、ライバルに一番追いつかないといけないところです。ダウンフォースの絶対値も上がって、良くなってはいますけどね。

―次のヨーロッパGPで使うエンジンは、サンマリノGPのものを使うことになるんですか?

 レギュレーションではそうなります。今度が2戦目ということですから。

―となるとエンジンはほぼ5週間ぶりに、封印を解いて使うことになりますね。

 そうですね。レーシングエンジンは、生き物なんです。使わないまま長く置いておく状況は、ほとんど想定していません。レース用のオイルは、簡単に酸化してしまいます。市販車用のオイルのように、酸化防止の添加剤も入っていません。

 ですから劣化したオイルによって、最悪の場合、予定距離に達する前に、エンジンが壊れてしまう可能性もあります。できるだけ酸化しないように、オイルの出し入れはしていますが、とにかくエンジンを回すことも開けることもできませんからね。

 オイル以外にもいくつか気になるところがあります。たとえばバルブ駆動はニューマチック(注)です。静的な状態で問題がなくても、ひょっとしたら空気漏れを起こしているかもしれない。これも、実際に回してみないと、分からないことです。

―こんなふうに何週間も使わない状態が続くなんてことは、もちろん初めての経験ですよね。

 そうですね。5週間も熟成したエンジンなんて、使ったことはないですね。ワインじゃないんだから (笑)。まじめな話、そのことを一番心配しています。

―次からまた予選システムが変わって、土曜日1回だけになりそうですね。

 ええ。特にそれで戦い方が大きく変わるということはないんですが、1回しかアタックができません。そしてウチは、復帰第1戦ということで、予選は最初の出走になります。その点は、ちょっと辛いですね。やはりコースコンディションのよくなるセッション後半の方が、いいタイムが出しやすくなります。

 また、直前のサポートレースで、クルマが飛び出したりすると路面が汚れます。最初に出て行くと、その掃除役もさせられるわけです。そういう意味では、カナダあたりで予選方式が変わった方が、うれしいかなあ (笑)。まあ、精一杯やるしかありませんが。

―復帰第1戦の目標は?

 2台でポイント取りたいですね。とにかく1点1点取っていって、じわりじわりと追い上げていくしかない。まだ13戦残ってますしね。もちろん表彰台の真ん中に立つという目標は、ぜひその中で遂げたいですしね。

(注:市販車のようにコイルスプリングではなく、圧搾空気でバルブを駆動する方式。この技術の導入で、高回転化が加速された。)

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