HondaモータースポーツF1中本修平レポート
VOL.43
 いよいよ今週末、2005年シーズンの幕が切って落とされる。ほとんどオフ返上で開発とテストを重ねてきた、この冬の成果が発揮される時となる。その最初のレースを前に、全般的なテストの総括、シーズンの展望を語ってもらった。

―全般的な、中本さん自身の感触は?
 
 まあいろいろね。まだ不安感はありますが。一応、予想していたタイムも出ましたし。いつでもあの速さは出せると思ってはいたんだけど、実際にそれが出ると安心ですよね。
 
―そうすると今年、他のトップチームがかなりいいタイムを出したりしていますが、それに対してそんなに差が開いているわけでもないし、かといってB・A・Rホンダが優位に立っているわけでもない?
 
 今の時点では、ちょっと負けているぐらいに思っているんですけれどね。マクラーレンとルノーは速いよねって。それにまあフェラーリは、もちろん速いでしょうし。バルセロナでは、それほどいいタイムは出なかったけれど、たぶんガソリンをたくさん積んで走ったりしているんでしょう。
 
―冬のテストではエンジントラブルが続きましたが、対策部品を入れたことで、信頼性の問題はクリアされたと思っていいですか?
 
 まあ、徐々にですが、良くはなっています。今のところ、目標としていた1500kmにはわずかに届かないのですが、それでも2レース分は走れる距離です。シーズン序盤は、それで問題はありません、レースには行けるよねと。もちろんベストの形ではありませんから、距離を伸ばすための開発は続けていきますよ。平行してテストベンチでの開発もやっていますし。
 まあ心境的には実際に戦っていないので、いろんな不安を感じていますが、でもわれわれのできる範疇の準備は、ほぼやれたと思っています。これから先、戦闘力を上げていくとか、それは今後の開発課題です。
 
―そうすると一時期、僕らが感じていたほど、真っ暗ではない。
 
 真っ暗じゃありません(笑)。ちょっとは明かりが見えてきました。ただし今は、「大丈夫。今年は何とかなります」と、完全に自信を持って言える状態ではないけれど。
 
―1年前の今頃に比べると、不確定要素は多いですね。
 
 そうですね。レギュレーションが大きく変わりましたからね。いろんな意味で、ほんとに最後まで走りきれるのか、という不安はどのチームも持っていると思います。まあエンジンに関しては、1レース目から壊れてリタイヤするチームはあんまりないでしょう。でもタイヤの使い方はむずかしい。レース後半でタイヤを壊してリタイヤしてしまうとか、そういう展開はあるかもしれませんね。
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