|
■「リセット」という言葉が印象的ですが。
そうですね。確かに後半戦調子上がってきたんだけれども、あまり結果として良いものをちゃんと残せていないですからね。そういうものを全部忘れて、良いマシンと良いドライバーなんだから、出せるものをちゃんと出せば結果は付いて来ると、みんな切り替えてっていう感じですね。
―もちろん鈴鹿スペシャルは投入されると考えてよろしいでしょうか。
そうですね。
―一口で言うと鈴鹿スペシャルとは何でしょうか。
エンジンのパフォーマンスっていうと、パワーがあって、高回転が使えて、軽量化できていて、エンジンの重心が低くて、っていうのが基本要素ですが、その全ての要素の集大成という形で見直したものを鈴鹿に向けて開発しています。一部先行的に使ってきた技術もあるんだけれども、そういう風に思って頂ければ良いと思います。
―では全てにおいてブラッシュアップしたエンジンと考えてよろしいですね。
そうですね。
■V10エンジンを今まで色々と研究開発されてきて、それが終了というのはいかがですか。
そうですね、V8に変わっても技術開発っていうのは果ての無い旅みたいなものですから、今までと変わらずにやっていきます。 我々は第2期1年目にV12でタイトルを取ったんですが、最終年にルノーのV10に負けて、F1のマシンにふさわしいバランスとしてはやっぱりV10が良かったかなという風には思うんです。 そのV10エンジンが最後の年で、最終戦上海が残っていますが、我々としては鈴鹿でV10最後の形を作り上げる気持ちもあますので、そういった意味でも、感慨深いですよね。
―V8の新しい魅力としてはどのようなところがありますか。
残念ですけど、エンジンそのものは排気量が落ちたり、吸気系を可変にする技術とかができなくなっちゃうので、エンジンそのものとしてはどうしてもV10よりもパフォーマンスが落ちる。ですがV10に比べてかなりコンパクトなエンジンになる事は間違いないので、それによって、各チームのマシンのパッケージがどういう風に変化するかは見所ですね。
■現チーム体制の区切り目として、このF1日本GPに対する意気込みはいかがでしょうか。
Honda陣営に限らずBARも最後のホームレースっていうことで、普段はどちらかというとコンサバなキャラクターのチームなんだけれども、鈴鹿についてはやっぱり多少リスクを犯しても上を狙って行こうよっていうことで、話をしています。 中途半端な成績じゃなく、できるだけ高いところを掴もうっていう気持ちで臨みます。
―アグレッシブといいますかHondaスタイルで行くというイメージですか。
そうですね。
■2人のドライバーに対してメッセージを頂けますでしょうか。
ジェンソンはこの1年2年を通して、ホンダと長くやっていきたいっていう思いを非常に強く示してくれたし、やっぱりこのチームでやりたいっていうことを非常に強く思ってくれてるんです。あまり表面の噂に惑わされるんじゃく、そういう本当の思いを我々に見せてくれたっていうところをチームとしては凄く評価しています。
F1のシートを得るというのは、ドライバー1人じゃどうにもなりません。周りのマネジメントもキチッと機能しないと、ドライバーが正しいと思うものが得られない事も起こりうるんです。けれども、なんといってもジェンソンは才能ある若いドライバーですから、頑張っててっぺんのトロフィーを、期待しています。
琢磨君については、自分の作りたいレースを作る方法を模索する為に、もう少しゆっくりと経験していく時間っていうのを持つと、もっと上に上がれるんじゃないかなと思います。 そのためには、いつも「いつ勝てるんだ。いつ勝てるんだ。」っていう環境にいるよりは、むしろ一時、もっと自分のドライビングに集中できる環境にいたほうが良いと思うんですね。 どんなに優れたドライバーでも、デビューしてすぐにガンガン勝つっていうのはなかなか難しくて、自分の存在感を示すだとか、自分のまだ足りないところを磨くとか、そういう経験を積む時期がやっぱりあるべきだと思うんです。彼の場合はB・A・R Hondaという非常に良い環境を得たけれども、逆にそういう時期は過ごせずに結果を求められてしまっている。彼は非常に多くのファンを背負っていますしね。自分のスタイルを得て、その上でステップアップすればいいわけです。そういう意味では我々も凄く期待しています。
■最後に木内さんの方からファンの皆様にメッセージをお願いできますか。
昨年はチームの進化っていうのをたくさんお見せできましたが、今年は非常に大変なシーズンでした。けれども、若いチームだから1回つまずいちゃうと、そのまま立ち上がれなくなっちゃうっていう危険も感じてはいたんですが、後半はあの名門フェラーリが復活できていないような所で盛り返すことができ、結果は十分じゃないけれども、チームの地力がかなり付いてきたっていうことを感じさせてくれるシーズンでした。 我々の課題とか欠点とかについて今年非常にはっきり見えた部分がありますので、来年以降Hondaワークスとしてリカバリーし、更に上へ行くパフォーマンスを作り上げて、また皆さんにお見せできるように頑張りますので、是非来年以降も応援して頂きたいと思っています。
―本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
|
|
|
 |
インタビュアー 川崎かおり(かわさき かおり)

1991年ホンダレディを経てタレントに転身、ニュース番組のレポーターやコラムニストなど多方面で活躍中。 |
|
|
|