「開幕まであと2週間」
 2005年シーズンの開幕戦に向け、様々なテストメニューをこなしてきたB・A・R Honda。全てのプログラムが順調に進んでいたわけではなかったが、前回のヘレステスト最終日には、ジェンソン・バトンがあわやコースレコードという速さを見せた。そして今週のバレンシアテストでは、開幕戦メルボルンに向けた新たな空力パッケージでの走行が予定されている。

 空力パーツの開発で難しいのは、ダウンフォースを出そうと頑張ると、ピッチングやヨー変化に対して過敏になりすぎる場合があることなんです。
 
 分かりやすく言うと、ピッチングは加減速など縦方向の姿勢変化。一方のヨー(yaw)とは、車体の旋回あるいは左右方向の動きのことで、たとえば走行中の横風にマシンが振られたりすることです。直線を普通に走っている分にはデータ通りのダウンフォースが出ているのに、フルブレーキングやフル加速、あるいは横風が吹いた時にダウンフォースが抜けてしまい、マシンが不安定になることがあるんです。
 
 去年、インディアナポリスで良い結果を収めたあと、フランスGP、イギリスGPとパフォーマンスが出せないことがあったでしょう。あれはまさにダウンフォースを追求した結果、そんなネガティブな部分が出たからだったんです。
 
 今年は、バレンシアという比較的低速なコースでのテストが多かったんですが、空力パーツに関しては、どこで試してもさほど違いはない。絶対的な旋回スピードは違っても、そういう傾向の有無は計測できますから。
 
―今回のバージョンアップの結果、レギュレーションで失われたダウンフォースは、かなり回復しますか?
 
 さあ、どうでしょう。我々の狙い通りに行くかどうか、実際に走ってみないとね。
 
―タイヤはどうですか。
 
 他のミシュランタイヤユーザーとは、少し違うテスト結果が出ています。その辺が課題ですね。
 
―それは具体的には、同じタイヤでも他のマシンだったらここまでロングランできるのに、B・A・R Hondaではそこまでできないとか、そういうことですか?
 
 走行距離的にもつ・もたないもそうですし、タイムの絶対値もそうですね。どちらにしても現時点(2月上旬)では、開幕戦で使用するタイヤはまだ確定していません。
 
 今回のテストでも、すでに1セットのタイヤで100kmを走るミニロングランを何度も行って、予選+レースで350km前後を走り切った場合は、おそらくこうなるだろうという予測はしています。でも、実際にその350kmを走って確認するに越したことはありませんから、開幕前にはそのシミュレーションも実施する予定です。
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