「実走距離1,500km達成を目指して」
 ニューマシンB・A・R Honda 007の2台目も完成し、ウインターテストは開幕戦に向けて佳境に入った。エンジンに関しても『2レース1エンジン』に対応した耐久性確認のため、実走テストを重ねている。

特に1月のテストでは、エンジントラブルが続出していたように思うのですが。
 
 今季の『2レース1エンジン』のレギュレーションに対応するために、今は距離を伸ばそうと、いろいろ対策している段階です。その過程でボンボンと壊れる。トラブルに対して、もちろん様々な対策部品を考えるのですが、なかなか思うように現場に投入できないというところです。
 
対策自体が難しい?
 
 技術的にどうすべきかは分かっているものの、部品を作るのに時間がかかるんですね。今のところウィークポイントになっている部品が2つあって、その対策パーツを作るのが容易ではない。工程が多かったり、非常に加工が難しかったりしてね。
 
 ただ、対策部品を待つ間も、純粋な性能向上を目的とした別のタマをいろいろ試すことができますから、そちらを進めています。
 
走行距離の長いロングランテストが、思うようにできないのではないですか?
 
 もちろんロングランテストは行っていますが、その場合はまだそんなに距離を走っていない、できるだけフレッシュなエンジンを使うようにしています。先週の時点で言えば、総走行距離が800kmを超えないように、走行プランを考えて走らせるわけです。
 
800kmというと、目標としている1,500kmの半分強の距離にあたりますが、その辺が耐久性の一つの山と考えて良いのでしょうか。
 
 いや、そういうわけではありません。去年のエンジンでも1,200km程度は十分走れていたわけですし。確かに計画通り進んでいない部分もあります。今年のエンジンは軽量化やコンパクト化をいっそう進めていますが、それとは直接関係はありません。
 
 万一それと関係があったら、基本設計から見直しをかけなければならず、大変なことになる。去年のエンジンに戻そうといっても、もう今年のクルマには載せられませんしね。でも、そうではありません。
 
そうすると、もちろんエンジンが壊れるのは良いことではないにしろ、対策部品さえ来れば大丈夫なのでしょうか?
 
 もちろんそうなんですが、まあ気は揉めますよね。もう2月に入っていますし。
 
今後1,000kmとか1,200kmという未知の領域に入ってくると、また新たな問題が発生する恐れがあるんでしょうか?
 
 すでに去年のエンジンでも1,200kmは走らせていますから、全く未知の領域ということではありません。それに、現時点でトラブルらしいトラブルは出尽くしてますからね。距離が伸びたことで壊れる場所というのは大体決まっているんです。
 
 ですから、今の時点ではまだ実際に1,500km走り切れていないのですが、これから距離を伸ばしていくこと自体については、それほど心配していません。
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