「ニューマシンB・A・R Honda 007、ついに登場!」
 1月16日、スペイン・バルセロナのカタロニアサーキットで、2005年シーズンを戦うマシン「B・A・R Honda 007」がベールを脱いだ。昨年型の正常進化版とは言うものの、そのルックスは大きく変わり、かなりの意欲作。佐藤琢磨は「とにかくかっこいい!」と語り、ジェンソン・バトンも「F1マシンのビューティコンテストがあるなら間違いなく1位」とその美しさを称える。「速いクルマは美しい」という格言は果たして007にも当てはまるのか。ニューマシンについて語っていただこう。

―ニューマシンを初めて見たときの印象は?
 
 僕自身は、去年の6月ぐらいのデザインスケッチの段階から見ているので、実車を見ても「おぉー」という驚きは無いんです。ただ最初のスケッチから比べると、風洞試験の結果を反映してかなり変わってはいますけどね。
 
―空力面で、ずいぶん変化した印象がありますが。
 
 基本的には、去年のマシンの正常進化です。とは言え、エンジンがコンパクトになった分、リア回りはさらに絞ったデザインになっています。技術上の色々な工夫が、そのままクルマの上に形として表れていますね。車体側からすれば、エンジンの大きさは限りなくゼロに近い方がいい。ですから小型軽量、低重心化の要望は、ずいぶん早い段階から上がっていました。それ自体はもう一昨年前の話です、その頃から基本的な開発を始めないと、実車への反映は間に合わない。
 
―改めて、今年のマシンのセールスポイントは?
 
 難しい質問ですね・・・・、Hondaエンジンを積んでいることでしょうか(笑)。空力上の変化がずいぶん目に付くかと思いますが、空力に関しては、やればやるだけ様々なアイデアが出てきますからね。そのアイデアを取り込んで、あそこまでまとまったということです。
 
―レギュレーションの大変更で、開発のアプローチが変化したということはありますか?
 
 ありますよ。再度見直した部分は少なからずありましたし。例えば、フロントウィングが50mm持ち上げられることになって、そうするとフロントのダウンフォースが減ってしまいます。それを、ウィングだけで何とかダウンフォースを回復しようとすると風を上方に跳ね上げてしまって、全く冷却できないクルマになってしまいます。そういうことをどうやって対処しようか、とか。
 
 それから、タイヤのレギュレーション変更への対応も同様ですね。タイヤが変わるということは、マシンの重量配分にも大きく関わってくる、かなり重要な部分なんです。重量配分をよりフロント側に持っていこうとすると、フロントのダウンフォースも上げる必要がある。空力の中心をより前方に移さないといけない。そうすると、それに伴って変えなければいけない部分が山ほど出てくる。そこをエンジニア同士話し合って、アイデアを出し合って、決めていきましたね。
 
―空力は今後開幕戦までに、大きく変わるのですか?
 
 メルボルン仕様というのが、入ってくる予定です。ですから、冬のテスト中に1回バージョンアップする感じです。(次回はニューエンジンについてのレポートです)
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