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テストチームとは、具体的にどんな仕事をこなしているのか。シミュレーション技術が発達した現在でも、なぜ実際にテストチームがF1マシンを走らせなければいけないのか。今回はテスト現場での、具体的なメニューを紹介する。 ―テストでは具体的に、どういうメニューをこなすんですか? ―車体に比べると、エンジンはテストベンチで回すことでかなりの部分までわかると思うんですが、それでも実際にサーキットで走らせる必要はあるんでしょうか? エンジンだけで考えれば必要ない部分もあります。だけど、エンジンが変わると馬力もトルクも変わるし、パワーの出方も変わります。その際に、車体がちゃんと機能するか、その確認が必要なんですね。エンジンが変わると、振動の出方も変わります。さらに言えば、駆動力は加速のときだけではなく、減速の際にも変わります。それに対して、たとえばトランスミッションは大丈夫か、変なクラック(ひび)は入らないか、とか。 すべての部品には、共振回転数というのがあるんです。それは14,000回転だったり、20,000回転だったりいろいろなんですが、それにある部品が一致してしまうと、急速に応力が高まって、簡単に壊れてしまいます。折れたり、ひびが入ったり、いろんな壊れ方をしますが、とにかく簡単に壊れてしまいます。例えば、1本のチタン製のボルトにしても、長さとか直径によって共振の回転数が違います。そして、その共振回転数にたまたま入ってしまうと壊れます。これは金属に限らず、カーボンファイバーの部品にも起こります。 エンジン部品の中にも、12,000回転が共振回転数の部品があります。でも12,000回転というのは、F1エンジンの場合、通過点ですよね。そこに長くとどまらず、一瞬通過するだけだから、金属疲労はたいしたことはありません。壊れずに済むんです。 ![]() そのとおりです。それを、剛性を変えたりして、実用回転域から外すわけです。車体の場合、そういうのは実際に走らせないと確認できません。だから、テストが大事なんですね。 それから共振の問題に限らず、たとえばエンジンパワーが急激に増えた場合、トルクは大きく変わりますから、ドライブシャフトがねじ切れるかもしれません。あとはエンジンが性能アップしていくと、シフトアップの回転数も当然上がりますよね。そうなったときに、トランスミッションの電子制御がうまくいくかとか。これも、実走テストでないと確認できないことです。(この項続く) ※今週末10月10日(日)は、いよいよRd.17 日本GP(鈴鹿サーキット) です。皆様のご声援をよろしくお願いいたします。 |
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