F1世界選手権第5戦スペインGP。自己最高の3番グリッドからスタートした佐藤琢磨が5位入賞。ジェンソン・バトンは予選アタックを失敗して14番グリッドからスタートするも、レースで8位入賞を果たした。
 
やはり表彰台に上がりたかったですね。
 
琢磨君は今ひとつスピードに乗れませんでした。同じサーキットで行ったウインターテストのタイムや、今回のフリー走行のデータを見れば、1分18秒台をコンスタントに出せたはず。全般的に、ロングランのタイムが遅かった。メインストレートの向かい風が強かったために、最終コーナーでのハンドリングが変わる。そういうこともタイムに影響するわけですが、それにしてもちょっと予想外のペースダウンでした。何が原因だったのか、詳しく分析しなければいけません。
 
ジェンソンは、予選での失敗がすべてでしたね。14番手からのスタートでは、8位入賞は上出来だったと思います。なかなか抜くのが難しいコースですから、遅いクルマの後ろで我慢を強いられるレースになってしまいました。
 
エンジンは、3日間を通じて、細かいトラブル以外は概ね問題なし。期待通りの性能を発揮してくれました。回転数を上げてパワーを稼ぎ、重量も前回のサンマリノGPに投入したものより、さらに軽くなっています。レース中も合計25周前後、予選と同じ回転数で回しました。決勝では、レースエンジニアが恐る恐る、「ここまで回して大丈夫かなあ・・・」ときいてくるんです。もちろん「大丈夫!」と言いましたよ。
 
このサーキットでは冬から良い走りができていたし、重点レースのひとつとして期待していただけに、今回の結果は残念です。やはりまだまだ、足りないところがたくさんあるし、ライバルに対して、まだまだすべての面で負けているということです。
 
例えばルノーですが、そのGPにぴったり合ったタイヤで走れば、予選一発のタイムもレース中のロングランも我々の方が速い。でも合わない時は、予選の一発タイムではなんとかなっても、レース中のペースではルノーに負けてしまう。それ以外にも、今回はスタートでもルノーに前に行かれたし、車体制御や足回り、それから空力と、頑張らなきゃいけないところは山ほどあります。
 
ピット作業もイモラの時よりは向上しましたが、まだあちこち、コンマ5秒は詰めないと。とにかくミシュラン勢でトップに立たなければ、フェラーリ云々を言える資格はないわけですからね。
 
確かに今の段階は、表彰台やダブル入賞が可能なところまでは来ました。でもそれは相撲で言うなら、敢闘賞や技能賞に過ぎない。優勝賜杯を実力でもぎ取れるところまでは到達していないということです。今はとにかく開発を続けていって、なんとか優勝杯を手に取ってやろうと思っています。

※F1世界選手権、次戦はRd.6・モナコGP、5月23日(日)決勝です。皆様のご声援をよろしくお願いいたします。
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