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最終戦ブラジルGP予選で、バトン5番手、佐藤6番手と、B・A・R
Hondaは3列目グリッドを獲得。小雨の降る中、大部分のドライバーはレインタイヤを選択してレースが始まった。ところがバトンは冷却系のトラブルで、レース序盤にリタイアを喫する。佐藤は、時折り小雨の降る難しいコンディションの下、6位入賞。チームのコンストラクターズ選手権2位が確定した。
まずバトンのトラブルは、マシンがブラジルから戻っていないため正確な原因を把握しきれていませんが、何らかの異常から水圧、水温がどんどん上がってしまいました。そうするとラジエターが異常圧力で膨らんでしまって、風の通り道がなくなってしまうんですね。それでオーバーヒートして、最終的にはエンジンが壊れてしまいました。
今回は、琢磨君が2回ストップ、バトンが3回ストップ作戦を立てていました。天候が不安定だったために、どちらに転んでも対応できるように、こういう違った戦略にしたわけです。ところがスタート直前の天候がレインで、すぐにドライタイヤに履き替える展開になってしまったために、重い燃料を積んで、1回目のピットインを遅らせようという琢磨君の2回ストップ作戦に、アドバンテージがなくなってしまいました。しかもバトンが早々にいなくなったために、とにかく完走優先に切り替えたんです。それである程度、抑えた走りをさせることになりました。そうでなければ最後のピットイン後、アロンソの後ろでコース復帰することもなく、4位になっていたでしょう。琢磨君自身、思いきり攻めきれていないので、本人も満足はしていないでしょう。かなりフラストレーションがたまってるんじゃないかと思います。とは言え、必ずポイントを取って、チームのランキング2位を確実にするという仕事は、完璧にやってくれました。
スタート時点では、最後までタイヤ選択を迷いました。ミシュランのドライタイヤは、「チョイ濡れ路面」ではブリヂストンよりグリップするので、できればドライで行きたかったんです。しかし、いったん止んだ雨が、直前にまた降り出しました。それでとにかく完走優先で、レインタイヤに決めました。
一方のルノーは、ドライタイヤを選びましたね。コンストラクターズのポイントで、我々にかなりの点差をつけられていただけに、リスクを冒して賭けに出たわけです。レース後半、琢磨君はかなりアロンソを追い掛け回したんですが、何しろダウンフォースを相当付けたセッティングだったので、高速コーナーからストレートにかけて、追い付くことができませんでした。でもダウンフォース重視のセッティングだったからこそ、リアタイヤのタレを最小限に抑えて、安定したタイムが出せたんですけれどね。
今季はコンストラクターズ選手権2位を獲得できましたが、一度も優勝することができませんでした。シーズン中に1勝もせずに、選手権で2位になったチームは、史上初めてなんだそうです。決して名誉な記録ではありませんね。何度か勝てるチャンスはありましたが、あと一歩届きませんでした。フェラーリはともかく、今年優勝を経験した他のチームと比べれば、マシンは決して負けていない。それだけに悔しさが残るシーズンになりました。(終わり)
※次回からは中本氏に今シーズンを振り返っていただきます。お楽しみに。 |
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