Vol.23 Rd.16 「鈴鹿ではもっと攻めるつもりです」
 初開催の中国GP。ジェンソン・バトンは予選3番手につけたものの、佐藤琢磨は初日のトラブルでエンジンを交換した結果、18番グリッドからのスタートを余儀なくされた。レースはともに、2ストップ作戦を選択。重い燃料を積みながらもハイペースで周回を重ね、バトンはドイツGP以来の2位表彰台。佐藤も6位入賞を果たした
 
 琢磨君は18番手スタートから追い上げて、モントーヤの前でフィニッシュさせたかったのですが、3セット目のタイヤのバランスが悪く、それまでのペースを維持できませんでした。2回目のピットアウトでは前に出ていたんですけどね。しかし、ほとんど最下位というところからスタートして6位フィニッシュですから、よく頑張ってくれたと思います。
 
 バトンは、もう少し上手くいけば勝てるチャンスもあったのですが、琢磨君と同様に3セット目のタイヤでペースが上がりませんでした。この時は燃料をかなり多く積んでいたのですが、そこでタイムが伸びない間に、トップのバリチェロに離されてしまった。そのタイム差が結局、最後まで響いてしまいましたね。
 
 レース戦略ですが、2人とも2ストップ作戦というのは、金曜日のタイヤ選択の段階で考えていました。これでいけるだろうと。シミュレーションだと、若干ですが、2ストップの方が速かったんです。もちろんレースは生き物ですから、実際にどうなるかは分かりません。それに加えて、今回は初めてのサーキットでしたしね。でも少しでも速い可能性のある方を選ぼうと、2ストップ作戦にしました。
 
 今回はフェラーリと比べても、レースのペースは遜色ありませんでした。一方2週間前のモンツァでは、1周当たり2秒も差をつけられていました。でもそれは、今回極端にクルマの性能が上がったから、というわけではありません。状況によって、タイヤとのマッチングの差が出たということです。クルマ自体は、あくまでフェラーリの方がまだまだ上手です。次の鈴鹿も、どちらかと言うとブリヂストンの得意なコースでもありますし、モンツァのようなことにならないとも限りません。でもミシュランも一生懸命開発を進めてくれていますから、何とか食らい付いていくつもりです。
 
 我々と、コンストラクターズポイントで現在3位のルノーとの2位争いは、今回で9点差に広がりました。でも理論的にはまだ、残り2戦で36点取られる可能性もあるわけです。その意味では、まだまだ僅差だと思っています。エンジンに関しては、シルバーストンテストの結果に自信を持っていますし、鈴鹿のワンステップ手前の仕様を投入した中国GPも、レース中のエンジンシフトアップ回転数は我々が一番高回転でしたから、次のレースでも自信はあります。
 
 次の日本GPに向けて鈴鹿スペシャルエンジンを投入する計画ですが、このまま予定通りいけば、レースに投入できると思います。だから鈴鹿では、もっと攻めるつもりですよ。

※F1世界選手権、次戦はいよいよRd.17 日本GP(鈴鹿サーキット)10月10日(日)決勝です。皆様のご声援をよろしくお願いいたします。
< INDEX Vol.24 >
モータースポーツHondaF1モータースポーツ