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Honda
F1プロジェクト 責任者、それぞれの思い(2)〜B・A・RにとってのHonda〜 (中部) 「プロジェクト一つ一つが掲げた目標を達成していくということを、3年でようやく軌道に乗ったという認識でいいと思うんですけど、車体のエンジニアは本当にB・A・Rの人たちに信頼をされているんですか?」 (橋本) 「されていますよ。うちがいなくなったら困るよ、と。正直言って、と。B・A・Rにジェフ(・ウィリス)という開発責任者がいて、彼と話すと、今年のクルマのターゲット、来年のクルマのターゲット、これはこういうふうにつくっていくんだと、そのためにどういうことをやるべきか、そのために一緒にやっていきますよね。そうすると、そのエンジニアたちは、向こうとの信頼関係も含めてすごく良くやってくれるから、今そのエンジニアたちが抜けると、B・A・Rとしては困る、というふうに言われます」
「それでは、目標は一致したということですね。では、この3年ぐらいの間に、例えば木内さん、怒鳴ったことありませんか?」 (木内) 「しょっぱなから怒鳴ってましたよね(笑)」 (中部) 「誰をどういうふうに怒鳴ったんですか?」 (木内) 「それは、最初のチーム全員集めて『よろしくお願いします』の時から、あなたたちのやっているのは悪いけどF1じゃない、と。よそのレベルも見ずにね、自分らの自己満足目標で開発をして、なんでこれでダメなんだろう、と悩んでる。これはF1じゃない。もっと、ポジションに関わらず、どんどん世の中に出ろ、と。敵を知れ、と。その上で、自分たちがどんなものをつくらないと勝てないんだ、と、身をもって感じないとダメだ、そこから始めようぜ、と。そんなようなことをしょっぱなから言っていたし」 8. 車体研究 2003年栃木研究所に導入されたのが、最新鋭の計測機器「DVS」だ。
車体開発を加速するために、Hondaが独自に開発したこのDVSは、世界に一台しかないシミュレーションマシン。サーキットで収集した走行データを持ち帰り、このシミュレーター上で再現することで、車体にどのような力が加わっているかを解析するために導入された。 「空力がかかっていくと、それぞれウィングだとかボディに付いたパーツが大きな下向きの力を発生します。それは1t以上にもなるんですけれども、その力を再現するために、この装置では車体側にあたかも空力がかかっているように下側に引っ張るんです。あるいは、旋回の横Gがかかったときには、遠心力に相当する力を車体の重心位置にかけます。今まで剛体だと思われていたボディも、実は走行中は非常に大きくたわんでいることが分かりました。こういったものを運動性能の中に考えとして取り入れて、大きな概念として運動性能の理論をつくらないと、速いクルマをつくることはできないんです。そういったものを、どんどんと、進めていきたいと思っています」 また、ウィングなど空力パーツの研究についても、B・A・Rとは違った独自の視点で行っている。次々と出されるアイデアを形にしてはテストする日々。こういったHonda独自の研究開発と、B・A・Rのエンジニアたちの技術力が一つになって、結果に結び付きつつあるのだ。 今考えられる最新のテクノロジーを投入し開発されるF1エンジン。そのテクノロジーの源は、自動車業界だけにとどまらないと、櫻原は言う。 (櫻原) 「世の中の動きがどうなっているか。他の産業ですね、例えば航空宇宙ですとか、軍事産業ですとか、当然自動車関係。それから医療関係とか、そういうところが、どういう動きをしているのか、というところを見まして、我々に足りないところがないか、とか、少しでも使えるものがないか、とか、そういう動きをしているんですね」 F1に携わる研究所のメンバーに求められるもの・・・それは、そこにとどまらないこと。常に次を見据えて行動することが求められているのだ。 (木内)
(橋本) 「やっぱり若い人たちが泣く姿を見たいな。なぜかと言うと、やってきたことが正しかった、あるいは、やってきてよかった、と思って、そうすると、過去にやってきたしがらみを思い出して、思わず涙ぐんじゃうっていうのがあるんだ。そういう、『やってきた感動』っていうのを味あわせてあげたい。俺の役割はそれじゃないかな」 (櫻原) 「本当にみんな必死に、オフのシーズンからずっと開発をやってきて、すごく嬉しかったですね、3位取った時ですね。その後2位を取ったんですけども、全然嬉しくないんですね、これが不思議なことに。今度、トップに立ったら立ったで、ずっとそれを維持したいっていう気持ちになると思うんですね。そうした時のプレッシャーの方が、たぶん今よりもはるかに強いんだろうなと思いますね」 進化し続けなければならないレースの世界。そのために、チャレンジする意味がある。Hondaは常に、先を見続ける。(終わり) |
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