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Honda F1プロジェクト 責任者、それぞれの思い(1)〜Honda F1第三期のはじまり〜 (F1車体技術開発責任者:橋本 健) 「第二期は、エンジンはがんばっていたし、車体だってできないことはないぞ、っていう気持ちはあったよね。いつかは車体もやってやろう、と思っていたんだけど。第三期が始まった時にね、車体もやるぞっていうっていう時に、じゃ俺がやろうかって、そういう気持ちはなかったね。これは絶対若いやつがやるべきだ、と。F1の場で、いろいろ鍛えられていく話だから。いまさら50の手習いってこともないだろう、と思ったしね。気持ちとしては分かるんだけど、これは若い人だなと」
「それは20代、30代の人がやるべきだと?」 (橋本) 「まあ、30代だろうな」 (中部) 「じゃ、自分がやるなんてことは全然考えてなかったんですね」 (橋本) 「考えてなかったです。何か相談受けたら相談にのろうというのはあったけど」 (中部) 「出来たばかりのチームが5年で勝つというは、大変な話だと思いますよ。6年目でチャンピオン取るっていうのも、奇跡に近いものがありますよ、F1グランプリの中でいえばね」 (Honda F1プロジェクトリーダー:木内健雄) 「強いコンストラクターっていうのは、もちろん技術力もさることながら、毎年毎年サーキットを走ったデータの蓄積っていうのがものすごく膨大で、結局、金・土の一時間や二時間でちゃかちゃかっとクルマをセットアップしてレースをやるという循環の中では、ポッと出がいくらいいマシンつくったって、やっぱりそれは無理だよね。5年はかかるんじゃないかなって、当時誰かに言ったことがあるんだけど」 (中部) 「エンジンの技術的なレベルの問題としての不安はなかったですか?」 (木内) 「もちろんそれはありましたよ。あったけど、少なくともエンジンをつくるという各要素に関しては、うちの会社は非常に優秀なスタッフを持っているし、ある程度自由にスタッフを招聘してプロジェクト組めるわけだから、それは時間の問題だろうというふうには、そのときは見ていましたけどね」
高い精度でつくられた部品は、ここで組み立てられ、エンジンの形となる。エンジンの組み立ては、イギリスのHRD(ホンダ・レーシング・デベロップメント)でも行われている。 Q:レースで組み立てるエンジンの数は? 「だいたい5台から6台くらいですね。ここで3台、HRDで2台という割合でつくります。レースイベントのスペアエンジンですとか、Tカーのエンジンを組むこともありますし、あとは実走テストのエンジン、ベンチエンジンも組んでますし、ほとんどやっていることは、HRDと同じですね」 F1エンジンは、およそ一週間かけて、丹念に組み立てられる。 6. 電装品開発 F1マシンを構成する部品の中で最も重要なものの一つが、このECU(電子制御ユニット)だ。この小さな黒い箱が、プラグの点火時期、燃料の噴射量など、エンジンを動かすための頭脳の役割を担っているのだ。 Q:ECUの役割とは? 「大きく分けて2つの仕事を持っています。特にF1のエンジンは量産車と違って高回転で回りますので、噴射や点火のタイミングの制御、AF(空燃費)のコントロールなどは、このECUがないとうまくコントロールはできません。もう一つの仕事は、たくさんのセンサーからのたくさんの情報をECUが取りまとめます。その情報を吸い出してあげて、各エンジニアに提供することによって、テスト効率などがかなり上がります」
7. ベンチテスト 完成したF1エンジンに、いよいよ火が入れられる。エンジンテストの目的は、大きく4つあるという。レースやテストのために送り出すエンジンの最終チェック、エンジンの信頼性を高めるために行われる耐久テスト、電装品などを含めた制御テスト、そして出力のアップや燃費などを改善していくための開発テストだ。中でも耐久テストに至っては、2日間以上エンジンを回すこともあるという。 「燃焼状態を確認する燃焼解析というテストがあるんですが、あまりにも振動や回転数が高すぎて解析が難しいです。まあ1戦から18戦までだと、ずいぶんエンジンの仕様も変わってきますので、日々進化しています」 こうしてHondaエンジンが完成し、次のグランプリに向けて送り出されていくのだ。 |
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