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一方、車体開発の面でも昨年から大きな変化があったと語るのは橋本だ。
「ひと言でB・A・RとHondaの一体化と言っても、チーム側には自分たちが長年F1で働いてきたスペシャリストとしての経験やプライドもあるし、彼らの多くは個人としてチームと契約を結んでいる立場ですから、そこにHondaが車体開発に関する提案をしても、当初は簡単に受け入れてはもらえませんでした。そうした状況が変わり出したのは去年の中ごろから。それまではB・A・RとHondaが別々のプロジェクトを進める形が多かったのですが、現場レベルから両者のエンジニアが一緒になって開発に取り組むように体制を変更し、その中でお互いの力を認め合える関係になっていった事で大きく状況が変わってきた。
テクニカル・ディレクターのジェフ・ウィリスからも、この部分でHondaのサポートが欲しい、こういうエンジニアを必要としている…という具体的なオーダーが出るようになりましたし、B・A・RとHondaが本当の意味で一体化し、それぞれの力を利用し合える関係になってきた成果がB・A・R
Honda 006に活かされているのだと思います」と橋本。
開幕からの3戦、こうした変化が「結果」に繋がった事で、チーム内にはこれまでにない自信と高いモチベーションが生まれつつあり、それがB・A・R
Honda全体にポジティブな連鎖を生み出そうとしている。マレーシアGPでバトンが初表彰台を手にした直後、B・A・RとHondaのスタッフが抱き合って喜びを爆発させる姿は、このチームがより高い目標に向かって新たなスタートラインに立ったことを感じさせた。
「とりあえず、キチンと自分たちの力を発揮できれば、実力で表彰台を狙えるレベルまでは来られたと思っていますし、状況によっては表彰台の真ん中も狙えるかもしれない。もちろん、今シーズン中に少なくとも1勝はしたいと考えていますが、実を言えば、我々のアタマの中は既に来年へと向いているというのが正直なところです。フェラーリを捕まえるには、もう1ステップ上を目指す必要がある。そのために何をしたらいいのか?
今はその課題に全力で取り組んでいるところです」と木内。
これまでの助走期間を経て、第3期Honda F1はますます「戦う集団」としての輝きを放ち始めた。ジェンソン・バトン、佐藤琢磨の二人が今後のシーズンで見せるパフォーマンスから、いよいよ目が離せなくなりそうだ。
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