< BACKINDEX12NEXT >


B・A・R Honda、第2戦マレーシアGPから表彰台の常連に

 2004年のF1グランプリは、B・A・R Hondaが新しい体制で臨み、マシンの仕上がりもよかったことから、開幕に向けて期待感が高まっていきました。その期待通り、第2戦のマレーシアGPで、まずはバトン選手が3位表彰台に上がり、その後3位、2位とだんだん順位を上げて表彰台の常連になっていった。そして第4戦のサンマリノGPでは、バトン選手が予選でポールポジションを獲得しました。

 佐藤選手も、続く第5戦のスペインGPで予選3位に。佐藤選手は予選後、ミハエル・シューマッハ選手と並んでオフィシャルインタビューに臨み、インタビューの合間にシューマッハ選手と談笑していました。あのシーンはみなさんの記憶に残っているのではないでしょうか。
 
 今のF1では、ドライバー、シャシー、エンジン、タイヤ、そして戦術という5つの要素が高いレベルでマッチングして、はじめていい結果が出る高度な闘いが繰り広げられています。オーディオで例えると、スピーカーだけが良くても、アンプだけが良くても、プレーヤーだけが良くても、いい音が出ないようなもの。結局、音は一番性能が低い機材のレベルになってしまう。あるレースで、マシンはすごく決まっているんだけど、戦術で負けちゃうとか。ドライバーのちょっとしたミスで負けちゃうとか。トータルで優れていなければ勝てないのが今のF1です。

 その高度な闘いの中で今年は、フェラーリの強さが最高潮に達していると思えるほど際立っているのは事実。それに対抗してHonda、ルノーが絡んでいったのが今年の序盤からの闘いの構図です。その辺のバトルが、毎戦どうなるか見どころでした。
 
 一方で、ウイリアムズやマクラーレンは、5つの要素が上手く噛み合わずに苦しみ続けました。ウイリアムズのキミ・ライコネンが第14戦のベルギーGPでやっと1勝を挙げただけ。F1は本当に繊細な世界で、たとえ伝統のあるチームでも楽に勝つことはできない。そういう意味で、B・A・R Hondaの今年の躍進はとても大きな進歩だったと思います。

第9戦アメリカGPでついに佐藤選手が悲願の表彰台を獲得
 僕たち日本人にとって、ここまでのF1での今年最大のニュースは、やはり佐藤選手の3位表彰台獲得でしょう。これはうれしかった。そして、センセーショナルなレース展開で3位になったことは、ものすごくインパクトがあった。はっきり言ってこのレースでは、フェラーリよりも、B・A・R Hondaの方が速かったと思います。最終的にフェラーリの戦術が功を奏し、結果として佐藤選手は3位だったんですけど、もう1歩上手く作戦が転んでいれば、優勝も夢じゃなかったと僕は思っています。このレースが、今年のF1の中で一番印象に残っています。
 

 佐藤選手は、F1に参戦してジョーダンで1年間ドライバーを経験し、サードドライバーを経て、フル参戦は今年2年目。その短い経験のなかで表彰台に登っているのだからすごく才能のある選手だと思います。日本GPは、昨年が6位入賞、一昨年は5位入賞と佐藤選手にとって験のいいグランプリ。鈴鹿のレースで佐藤選手は運を自分に引き寄せている。今年表彰台に登っている佐藤選手が、鈴鹿の追い風にのってどこまでいくか。それが一番の見どころですね。これは、日本のファンとして見逃せないレースになりますよ。
NEXT >

< BACKINDEX12NEXT >
モータースポーツ Honda F1 モータースポーツ