Q1 ウィンターテストではどのようなところに焦点を絞っているのですか?
 エンジンパワーや回転数などの基本的な項目はベンチテストでだいたいテストされますので、サーキットでの実走テストでは燃費、冷却、ドライバビリティ、新しい制御システム、全体の振動やエンジンパーツの局部的な捻り振動などについてのデータ収集に取り組んでいます。

Q2 Hondaのテストチームとレースチームはどのように連携をとっていますか?
 相当密接に連携をとっています。テストチームとレースチームには「マシンを速くする」という共通の目的がありますからね。とはいえ、レースチームは直接に開発プログラムを担当しているわけではなく、むしろテストチームが担当する開発プログラムのためにアイディアと要件を提案します。したがって、レースチームのエンジン・エンジニアと電気専門のエンジニアがよくテストにも参加します。新しい技術は、テストで効果が確認できない限り、レースでは絶対に使うことはありません。レースチームとテストチームは、お互いに連携をとりながら開発を進めています。現代のF1では、テストチームのエンジニアがレースで発生した問題の解決も行った上で純粋な開発プログラムも推進しなくてはならず、優秀な技術者が不可欠です。Hondaでは「現場」「現物」と「現実」という“三現主義”が研究と問題解決には重要だと考えています。レースチームもテストチームも現場にいて、現物を取り扱って、現実を掴むことが仕事です。

Q3 バトン選手と琢磨選手のドライビングスタイルはどう違いますか?
 2人とも速いドライバーで、それぞれに長所があります。琢磨は昨年のテストドライバー経験がとても良い勉強になり、非常に成長したと思います。すでに車の挙動についてかなり高度な知識を身につけ、車高、重量分配、サスペンションのセッティングなどの要素が車にどのような影響を与えるのか、よく知っています。車の挙動についての基本理論を理解していますので、その理論に沿った動きをしないと、その理由を突き止めようとする姿勢があります。マシンの開発にとても熱心ですね。ジェンソンは生まれつき速いドライバーで、才能があります。例えば、色々なセッティングの違うマシンであっても、一箇所セッティングが気に入らない状態でも、似たようなタイムを出すことができます。ただし、2人のドライバーに共通して言えることは、マシンがニュートラルな挙動をしない場合には、アンダーステアの方を好むことですね。

Q4 ミシュランのタイヤをどう評価していますか?
 私たちにとって、タイヤ開発のアプローチ方法が今までと違うミシュランと一緒に仕事をすることは、とても面白いことです。様々な異なるコンパウンドと内部構造を試しましたし、ショートランでの速さと、ロングランでの耐磨耗性のバランスを探しています。タイヤの特性によって、車体のジオメトリーとサスペンションの開発にも影響を与えるため、ミシュランとの関係は非常に大事です。

Q5 ワンラップの予選はどう思いますか?
 テレビ観戦の人にとってはおもしろいでしょうね。ドライバーにとっては相当なプレッシャーでしょうが、プレッシャーに耐えるのもドライバーの1つの仕事ですからね!ドライバーにとって大きなチャレンジですね。今年は2つの予選セッションの間にほとんど時間がないので、マシンのセッティングを大きく変更することは難しくなるでしょう。土曜日のセットアップ作業では、その点を更に考慮しなければいけませんね。
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