Q1 新型エンジン「RA004E」の開発と設計について聞かせてください。
 新しいエンジンには大変満足しています。私たちは、3つの目標を持ってニューエンジンの開発にあたりました。一層の軽量化、パワーアップ、そして更なる長寿命化です。重量ははるかに軽くなっており、パワーに関しても、開幕戦のオーストラリアまでには昨年の鈴鹿(最終戦)のレベルを超えると確信しています。既にグランプリの3日間を走り切る耐久性は得ていますが、その寿命を更に伸ばす試みも続けています。
私たちは、昨シーズン中にもエンジンパフォーマンスを大きく進歩させることができましたが、まだいくつかの要素ではトップチームのエンジンに対しあと一歩及ばなかったと認識しています。今年は新レギュレーションに伴い、昨シーズンの倍の耐久性、すなわち1レースウィークをエンジン交換無しで戦わなくてはなりません。私たちは、ロングライフ化に伴う高い耐久性を確保した上で、昨年のエンジンを上回る高いパフォーマンスを目標に、2002年12月より開発を開始し、昨年の8月よりベンチ上でのエンジンテストを開始しました。開発は予定通りに進んでおり、昨年に比べ更なる小型軽量化、低重心化、そして高出力の見通しが立っています。

Q2 B・A・R Hondaは、金曜日に3台のマシンで走行できるチームの中で最高位ですが、金曜日に3台のマシンで走れることの利点とは何でしょうか?
 ロングライフ化に対応したエンジンではありますが、どのチームも、レースカーに搭載したエンジンは決勝レースまではできるかぎりストレスを与えないような走行スケジュールを組むと思います。そのような状況の中、金曜日のサードカーでエンジンのライフをあまり気にせず、フルパフォーマンスでレースシュミレーションやタイヤチョイスのためのロングランが可能であり、大きなメリットになると考えています。

Q3 新しいエンジンレギュレーションによって、新型エンジンの設計アプローチは何か変わりましたか?
 耐久性を確保するためには通常、「軽量化」「高回転」「高出力」が犠牲になる場合がありますが、私たちはロングライフを達成していながら、主に下記のような項目をキーファクターとして捕え、更なる小型軽量化、高出力化を達成しました。
1. 部品寸法の高精度化・・・・個々の部品の精度を大幅に向上
2. 表面処理(コーティング)の高品質、高基準化・・・・部品の表面処理の品質や密着度、選定の基準をより高レベル化
3. バイブレーション(エンジン振動)の低減・・・・エンジンVバンク角は、昨年より低振動化に有利な90°を採用しており、今年も基本コンセプトは継承。今年は更に局部的な振動の削減を目的に構造面から動弁系、レシプロ系のバランス設計を採用
また、耐久性と更なる小型軽量化を両立させるため、局部的に過大な応力が加わらないような構造を得るため入念な強度解析を行い、デザインに反映しています。

Q4 開幕戦、そしてシーズン全体の目標は?
 開幕戦を含め、レース前半から表彰台を目指します。そしてシーズンを通して少なくとも1勝し、トップチームと対等に渡り合うことを念頭に、全ての開発を進めています。

Q5 今シーズンの2人のドライバーについて、どう思いますか?
 ドライバーの2人はチームメイトとして、また良きライバルとしても息の合った組み合わせだと思います。ウィンターテストでも実証されていますが、チームにも認められている高い開発能力を持つ佐藤と、レースでの速さと安定性を兼ね備えたバトンという若いアグレッシブな2つの個性の組み合わせは、お互いに刺激し合い、更なるプラスアルファも引き出せるのではないかと思います。また、チーム全体を良い方向に進めることにもプラスになると確信しています。


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