Honda Racing to TOP
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 さて、次の質問は必然的に「ジェンソンが今後F1でどれだけ活躍できるだろうか?」ということになる。
この点に関してB・A・Rの代表デビッド・リチャーズはまったく心配していない様だ。「ジェンソンは偉大な才能を持つ若者だ。そのことは間違いない」とリチャーズは言い切り、次のように付け加えた。「環境さえ整えば、F1チャンピオンになることができる器である」
その「整った環境」を探し求めた結果ジェンソンが選んだのは、今年のドライバーとしてジェンソンを欲しがっていたザウバーでもなくトヨタでなく、B・A・R Hondaだったのである。
 「B・A・R Hondaこそジェンソンにとっての最適なチームであると確信している」
エッセンシャリー・スポーツ誌のジョン・バイフィールド編集長はそう断言する。「B・A・R Hondaもジェンソンも、ここ2年間ほど低迷したが調子は上向いているし、今年こそ本領を発揮するはずだ。 B・A・R Hondaとジェンソンは理想的な組み合わせだと思う。力をあわせてぜひF1チャンピオンを勝ち獲って欲しい」
 B・A・R Hondaは全精力を注いでマシンを仕上げようとしているし、ジェンソンにとっての「最適な環境」も整いつつある。ウィリアムズ時代にジェンソンのレース・エンジニアだったクレイグ・ウィルソンが冬の間にB・A・R Hondaに移籍してきたのをきっかけに、ウィリアムズのテクニカル・ディレクターだったジェフ・ウィリスも今年の初めにB・A・R Hondaに加入した。エンジニアにとどまらず、ジェンソンのパーソナル・トレーナー、バーニー・シュロスブリーもB・A・R Hondaについてきた。
「ジェンソンと力を合わせて頑張るのはとっても楽しいね」
シュロスブリーはにっこりと笑ってそう語り、「彼は精神的にとても強いものを持っていて、どんなに困難なことでも克服してしまう。僕が彼のために設定したどんなに高いゴールでも、彼は一生懸命努力して達成してしまう頼もしい若者です。彼のモチベーションは非常に高いし、何としてでも成功して欲しい」と続けた。

 ジェンソンのそばにはもうひとりかけがえのない人物がついている。カート時代のメカニックで、ジェンソンによると「エンジン・チューニングの名手」の彼の父親、ジョンである。
レースには欠かさずサーキットに来て、重圧のかかるグランプリ、ジェンソンを精神的にサポートし、リラックスさせる大事な役割をこなしている。
もうじき2003年シーズンが開幕するが、強力なHondaエンジンを積んだHonda B・A・R 005はテストで速さを証明してみせている。しかし真価はメルボルンで行われるF1開幕戦で試される。
 「早く始まってくれないかと待ち焦がれているんだ。チームの雰囲気はいいし、とても気に入っているよ。クルマも我々の要求に応じた改良が着実になされていて、レスポンスも良くなった。メルボルンで信号が赤から緑にかわるのが待ちきれないね」とジェンソンは熱っぽく語る。
Hondaのチームスタッフにジェンソンとジャックのどちらを勝たせたいかという質問をすれば、多分「どちらでもかまわない」という答えが返ってくるだろう。なるほどイニシャルのJ.B.もJ.V.も日本語ではほぼ同じ発音になるそうな。しかし昨年、ジェンソンとともに栃木を訪ねた時に見たHondaの歓迎ぶりからは、スピードの申し子、ジェンソンに対するHondaの期待の大きさがひしひしと伝わってきた。
そのHondaの期待を受けてジェンソンがどんな活躍を見せてくれるか興味は尽きない。がんばれジェンソン!(終り)
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