アレックス・ブルツのコースガイド
ホッケンハイムで最も印象深いのは、やはり終盤のスタジアム区間だ。あの巨大なグランドスタンドが、ほかにはない雰囲気を醸し出すからだ。何万もの観衆が上げる歓声、立てる音が大反響する。ドライバーズパレードでそれを聞くのは、すばらしい体験だった。サーキット自体は、02年の大改修以来、まったく別のものになってしまった。でも依然として攻めがいのあるコースなのは、間違いない。
1コーナーに達したときは、6速、時速270km以上まで速度に乗っている。かなり短い区間で減速し、ギアを1つ落としながらエイペックスへと切り込んでいく。しっかりターンインできないと、出口で大きくふくらんでしまう。そうするとその先の直線で、かなりのタイムロスを喫することになる。
ターン2は、奇妙なコーナーだ。ブレーキングで滑りやすいし、路面がデコボコだ。早めにブレーキを踏めば、立ち上がりの加速も早めにできる。このあとにここで一番長い直線が控えているから、これは絶対に必要な措置だ。加速の際、まだステアリングはまっすぐになってない。だから身体には、かなりの横Gを感じる。ホイールスピンし過ぎないよう、急激なアクセルオンは禁物だ。
直線では、時速310kmに達する。そしてヘアピン手前で、フルブレーキング。ここは1速、時速60kmまで落とす。そしてここが一番の、抜きどころでもある。ランオフエリアは十分に広いから、必要なら思いきった抜き方をしても大丈夫だ。そこからターン7までの短い直線でも、6速までギアを上げる。だから立ち上がりのトラクションは、とても重要になる。ターン7は、簡単に全開でいける。時速280kmまで加速して、ターン8、9に到達する。
この2つの左コーナーを攻めているとき、マシンはかなり滑っている。だからエイペックスではミスしやすい。ターン10に向かって加速し、立ち上がりでは5速までシフトアップ。そしてスタジアム区間にたどり着く。
ターン12は、このコースで最も難易度の高いコーナーだ。進入速度は約270km。バンピーだし、出口に向かって狭くなっている。だからライン取りには、細心の注意が必要になる。タイムを稼ぐには、出口で縁石に乗った方がいい。しかし誤って縁石をはみ出すと、その先は滑りやすく、大きくタイムロスしてしまう。
2速の左13コーナーはバンクがついてるから、かなりの速度でもエイペックスを逃さない。ただしバンクは出口付近でなくなるから、オーバーステアへの準備を怠らないことだ。ターン14、15は、左、右とリズミカルに抜けていく。そして終盤の、2つの右コーナー。ここはむしろ、エイペックスが2つある単一コーナーと考えた方がいい。コーナーに沿って、ステアリングを戻しながら、最終コーナーの立ち上がりでは、十分にスピードに乗せて、フィニッシュラインを通過するんだ。
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