アレックス・ブルツのコースガイド
イギリス人と結婚した僕は、もはや一部はイギリス人と言っていいかもしれない。だからシルバーストーンは自国GPみたいなものだし、他の国が何と言おうと、イギリスはやっぱりモータースポーツ発祥の地だと思う。
シルバーストーンは特に前半の高速区間が、すばらしいね。ターン1には、7速全開で到達する。そしてそのまま、踏みっぱなし、少しもブレーキに触れることなく駆け抜けていく。ここはたとえばスパのオールージュと比べても、とてつもなく攻めがいのあるコーナーだ。
次のベケッツも、すごい。進入はバンピーで、最初の右コーナーに向けて、非常に正確にマシン位置を決める必要がある。ここまでは、ずっと全開だ。そして左へと素早い方向転換。依然として、ブレーキは踏まない。ギアをひとつ落とし、四輪をドリフトさせることでやや減速する。最高に面白い。次の右コーナーで、さらにもう1速落とす。でも、ブレーキは踏まない。ここはアンダーステアになりやすいけれど、スロットルを踏みっぱなしにしたまま立ち上がって、ハンガーストレートに向かう。
ストウの進入で初めて、ブレーキを踏む。それまで使っていないから、ブレーキが冷えきっていることを忘れないように。当然ディスクの感触が、いつもとは違ってる。減速と同時に、コーナーに突っ込む。ここでブレーキを遅らせて誰かを抜くのは、相当難しいだろうね。進入では、オーバーステアにもなりやすい。
短いストレートを抜けて、クラブに到達する。初めてのフルブレーキングだ。左コーナーへの進入では縁石に強くぶつかるように乗って、続けて右に方向転換する。進入時に2速に落とし、立ち上がりでは5速まで上げる。トラクションコントロールのない今季は、特に厳しいコーナーになるね。
次のアビーでのブレーキングは、いつもながら非常に滑りやすい。あえてそれに逆らわず、攻め過ぎないこと。出口はバンピーで、去年ならトラクションコントロールを効かせて全開でいけたけれど、今年はそういうわけにはいかない。差の出やすい、面白いコーナーになりそうだ。ブリッジの下りは、6速全開。ここはそんなに、難しくない。でも続くプライオリーへの左は、注意が必要だ。その周はグリップが効いて完ぺきなコーナリングができても、次の周にはがらっとフィーリングが変わってしまったりするからね。
そしてブルックランズ。週末は走るにつれてグリップがよくなっていくから、縁石のカットの仕方もどんどん深くなる。2速の長い左ターンのラフィールドでは、思いきったブレーキングで、ニュートラルな状態で進入する。でも途中から舗装状態が変わっているから、セットアップがどうであれ、コーナリング中はアンダーステアになってしまう。スロットル操作でそれをできるだけ消して、メインストレートに向かって全開で立ち上がっていくんだ。
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