アレックス・ブルツのコースガイド
モントリオールは、すばらしいGPだね。みんなが行きたがるレースだし、大都市に隣接していて、その雰囲気が抜群というところは、オーストラリアGPにも似ている。僕はここで、1997年にF1デビューを果たした。その意味でもここは忘れられない場所だし、今でもカナダに戻るのは大好きだ。
モナコのあとにいきなりここで走ると、あまりのダウンフォースのなさに奇妙な感じがする。いたるところでマシンは滑るし、最適なバランスを見つけるのがすごく難しいことを、思い知らされる。タイヤのグレーニングも、ここでは厄介な問題だ。
ターン1手前には、6速までギアが上がっている。このサーキットの中では、ここは最もブレーキングを遅らせたくなるコーナーの1つだね。そして左側の縁石も、目一杯使いたい。その上ブレーキングが遅いと、クルマは思いっきり不安定になり、縁石に乗っているときもいい気分とはいえない。ここに続く1速の右コーナーは、初日にはものすごく滑る。でもラバーが載ってくるにつれて、どんどんグリップしていくよ。
ターン3と4は、1つのシケインを形成している。グリップがよくなれば、アグレッシブにそのまますっ飛んでいくことも可能だ。出口では、右側のバリアすれすれまで接近する。そこから左側にマシンをしっかり置いて、緩い右曲がりを全開で行く。
次のシケインは、ブレーキング時のバンプがひどい。でも、できるだけブレーキングを遅らせて、左側の縁石を使う。ここでマシンを、ふらつかせないように。この先は、長いストレートだ。最後に右を抜けながら、全開で立ち上がる必要がある。ブリッジをくぐって、もうひとつのシケイン。ここの進入ポイントは、たった1つしかない。すごくミスしやすいし、実際に毎年、多くのドライバーがまっすぐ行ってしまう。
そしてヘアピンだ。ここは2速か3速。ギアレシオによる。その先に1kmの直線が控えているから、立ち上がりのトラクション性能が非常に重要になる。15秒間の全開区間を経て、最後のシケイン。ここもできるだけ、ブレーキングを遅らせた方がいい。一瞬でミスを犯すので、とにかく注意が必要だ。自分で気付く前に、「チャンピオンの壁」にぶち当たることになる。
抜きどころは、ヘアピンと最後のシケインだ。でもタイヤかすがどんどん蓄積されるから、レース終盤が近づくにつれて、ラインを外して抜くことは難しくなる。
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