アレックス・ブルツのコースガイド
イスタンブールパークは、各コーナーでのスピードとグリップレベルがかなり違う。そのため、マシンセットアップの難易度がかなり高いコースだ。スタートしてすぐに、かなり高速での方向転換がある。ストレートは長く、終盤にはいくつかの低速コーナーも控えている。そのすべてで、ある程度のパフォーマンスを発揮できるセットアップを、作り出さないといけない。路面舗装も、場所によってずいぶん違う。最初の区間はしっかりグリップするが、最終区間はすごく滑りやすい。
ドライバーの多くは、有名なターン8を話題にする。でも、僕に言わせれば、路面に凸凹があって、首への負荷がきついだけのコーナーだ。ターン8の走り方次第でタイムが大幅にアップするかというと、そういうことはない。高速コーナーでタイムに大きく差がでることはありえないんだ。クリップポイントでも、少なくとも時速250kmは出る。あのコーナーを極限まで攻めたら、そのデータを見たエンジニアは大喜びするはずだ。でも攻めすぎると、右のフロントタイヤがすぐにダメになってしまう。長丁場のレースでは、それを考えないといけない。
このサーキットで最もチャレンジングなのは、イスタンブールの街中から、いかに渋滞をかいくぐってサーキットに到着するか……なんて冗談はさておき、なんといっても最終区間だ。最後の3つのコーナーは、すごく低速だ。ほとんどが、だいたい2速80km/h程度。そして、それぞれがすべて連係している。最初のコーナーで、ほんのわずかなミスを犯しても、それが最終コーナー立ち上がりまで尾を引いて、メインストレートの最高速に大きく影響してしまう。ここではつい攻め過ぎてしまうことがあるので、かなり注意しないといけない。
イスタンブールは街自体もすばらしい。これまで何度か訪れて、面白い場所も見つけた。何より名所旧跡が、山ほどある。ボスポラス海峡も、眺めているだけでも飽きない。レースに熱中するだけでなく、歴史に思いをはせてほしい。
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