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第4戦 スペインGP

スペインGPプレビュー

Honda Racing F1 Teamは今週末、今シーズン第4戦スペインGPを戦うべく、バルセロナのカタルニア・サーキットへと向かう。全長4.655kmのコースを66周するこのレースから、ヨーロッパラウンドの開幕となる。

このサーキットでは1991年以来、毎年スペインGPが開催されている。そしてこの17年の間に、コースは何度も改修されてきた。最近では2年前に改修工事が行われ、最終コーナー手前にシケインが新設されている。

チームは先週ここで、4日間のテストを行った。そこでは新しい空力およびメカニカルパーツが試され、スタッフは少なからぬ手応えを得ることができた。まずはポイント獲得が、今週末のレースでの目標となる。

テクニカルチャレンジ

このサーキットの特徴を一言で言うなら、優れたマシンが脚光を浴び、欠点のあるマシンは影をひそめる。つまり、このサーキットでは、マシンセットアップのあらゆる側面が、正しい方向に向かうことが求められる。

各チームがここでもっとも多くテストを行うのは、マシン開発に必要なすべてがそろっているからだ。長いメインストレートで空力効率の優劣が試され、難易度の高い低速コーナーや、うねるような路面、あるいは高速コーナーも配されている。もしここで速いタイムが出せれば、それはほかのほとんどのグランプリサーキットでも有効なはずだ。

近年、このサーキットは何度も変更された。最終コーナーへの進入速度を下げるためにシケインが設置されたり、2006年には全面的に舗装も張り替えられた。当初はグリップを大きく失ったものの、ラバーが載ってからはラップタイムが更新されている。一方で、新舗装のストレートでは、ドライバーが少し違和感を感じる程度の中高周波の波状振動が発生しており、興味深いデータが得られている。

 フルスロットル:64%
 ブレーキ:ミディアム
 ダウンフォースレベル:高、8/10
 タイヤ:ミディアム/ハード
 タイヤの使い方:ハード
 平均速度:207km/h

チームトーク

ロス・ブロウン|Honda Racing F1 Team チームプリンシパル

―スペインGPで、チームはどこまでの戦闘力を発揮できると思うか?
「チームはレースごとに、進化を続けている。自信を深め、いい走りを見せてくれるようになった。特に最新の空力、サスペンション変更、そしてドライバビリティの向上により、今回の4日間のテストでいい結果を残せたと思う。戦闘力がさらに増した今、スペインGP以降、ポイント獲得の可能性に期待している」

ルーベンス・バリチェロ

―今回のテストでの、RA108のパフォーマンスは?
「4日間のテストは大成功で、かなりたくさんのメニューをこなすことができた。テストの主な目的は、週末のレースに向けて空力とメカニカル両方の開発熟成だった。そして改良を施した結果は、たとえば1周のラップタイムに顕著に反映されている。しかし、それがグリッド順をどこまで押し上げられるかは、予選本番でないとわからない。でもこうして進化を続けていることで、いっそう自信は増している」

―コースを知り尽くすことは、RA108の性能を極限まで引き出すための助けになるか?
「オフやシーズン中のテストで、すべてのドライバーとチームがこのコースを走っている。そして僕たちは今回の4日間の直前テストで、セットアップに関するかなりのデータを収集でき、タイヤの使い方も多く学ぶことができた。しかし、レースの週末の不確定要素も多い。天候、風向き、風の強さ、それから3日間を通じての路面グリップの変化など。だから2日間のフリー走行でそれらを見極めて、マシン性能を最大限引き出す努力が必要だ」

ジェンソン・バトン

―スペインGPへの抱負は?
「序盤3戦での進歩はチームにさらなる自信を与えてくれ、マシンへの信頼性も深まった。僕自身は先週のテストで、天候不順により、十分な距離を走ることができなかったが、それ以前の3日間でチームはかなりのメニューをこなしている。だから今週末も、いい走りを見せられるはずだ。コース自体にはなじみがあり、週末のコンディションに合わせたマシンセッティングに作業を集中できる。まずは予選で再度トップ10に入り、いい位置からレースをスタートしたい」

―ここでいいタイムを出すための秘けつは?
「ここで速く走るには、まず何よりも優れたダウンフォースレベルのマシンに仕上げることだ。高速コーナーに突っ込んでいくとき、マシンを全面的に信頼する必要があるからだ。このサーキットで先行のマシンを抜くことは、かなり難しい。唯一のチャンスは、やはりスタート直後の1コーナーだろう。ここで無理やり割って入っていければ、その後のレース展開が一気に面白くなる。でも抜くのは大変だ。最終区間のシケインも、かなり遅くて滑りやすいので、注意が必要だ。ここでミスすると、一気にタイムをロスしてしまう」

アレックス・ブルツのコースガイド

かつてのカタルニア・サーキットは、有数の超高速コースだった。しかし、変更が重ねられ、有名な高速コーナーは、Gがかかってタフなターン3を除いて、みんななくなってしまった。

しかし、今でも、ここはすごく走りがいのあるサーキットだ。ここで速いタイムを出すには、いい走行リズムを見つけること。そして最終区間に集中している低速コーナーで、マシンがちゃんと働くようなセットアップにすることだ。かつては高速区間にマシンを合わせるのが常識だったが、今は低速区間に照準を定めている。ちょっと残念だが。

ターン1への進入直前は、時速310kmぐらいまで速度が上がっている。ドンとブレーキを踏んで、2速まで落とす。そしてターン2は、3速で進入する。ここで最高のコーナーと僕が評価するターン3を抜けたら、再びフル減速でヘアピンのターン4をクリアする。するとすぐに、もうひとつのヘアピンがやって来る。ここは進入が下りだから、タイヤがロックしやすい。そのあと、面白いコーナーがある。

ターン6は中速コーナーで、出口では思いきって縁石に乗った方がいい。次の右に曲がるターン7では、時速215kmまでスピードに乗る。その速度をできるだけ保ったまま、ここを抜けた方がいい。すぐに裏のストレートが待っているから。ここで時速300kmに達し、そこからは低速コーナー中心の区間に入る。最終コーナーも、やはり立ち上がりで速度を維持することが重要だ。そうしないと、長いストレートで失速してしまう。

コースは数年前に全面的に舗装をやり直して、それまでのタイヤに厳しい、ざらざらした路面という悪評は払拭された。その結果、タイヤのデグラデーション(性能劣化)は一定になり、作戦的にもほかのサーキットと同じようになっている。

レースを見に来る人は、ぜひバルセロナの街にも立ち寄ってほしい。すごく素敵で、僕の大好きな街のひとつだ。カタルニアの人はとてもオープンマインドで、親しみやすい。偉大な文化とおいしい食事もある。子ども連れだったら、ぜひ自然博物館に行くことをお勧めする。

スペインでのHonda

・スペインでは、二輪製造販売を行うモンテッサ・ホンダ・エス・エーが86年からビジネスをスタートし、四輪販売を行うホンダオートモービルズエスパーニア・エス・エーは88年に設立された。現在、二輪、四輪、汎用、ロジスティック、ファイナンスの5のビジネスを行う
・07年には2万6250台の四輪を販売して記録を更新。08年のさらなるビジネス拡大が期待される