■アウトドローモ・ナチオナーレ・モンツァ(全長5.793km、レース53周)
ここモンツァは、モータースポーツの聖地として名高く、難易度の高さにかけても依然として、世界屈指のサーキットである。雰囲気も特徴も、他に類を見ない。そしてF1全18戦中では、最も歴史あるサーキットのひとつである。安全性の点からレイアウトが変更されたものの、全GP中で随一の超高速サーキットであることに変わりはない。
超高速コースであるがゆえに、マシンセットアップにはダウンフォースを極限まで減らすことが求められる。しかし同時に減速時の安定性も、重要な要素である。また縁石を効率よく使い、高速時でも大きなアンダーステアを出さずにバランスを保たなければならない。さらに、レイアウト変更されたレティフィロとロジアの両シケインでは、立ち上がりのトラクション性能が、タイムアップの重要な鍵となる。トップスピードから低速セクションに入る減速時にかなりの高温が生じるが、ブレーキはこの高熱に耐えなければならない。
オーバーテイクは第1シケインと第2シケインで期待できるが、シケイン前の高速コーナーで先行マシンの後ろに付くことは、現代の空力特性を考えると難しい。かつて主流だったスリップストリーム※に入る戦略は、最近では2ストップ作戦のマシンが、燃料をたくさん積んだ1ストップのマシンよりもパフォーマンス面で十分に優位な場合のみ有効とされている。
※スリップストリーム:先行するマシンの真後ろに、風が遮られて風の抵抗が少ない空間ができる現象。この空間に入ることで、速度が上がって先行車を抜くことができる |