カナダGP決勝レースで、Lucky Strike B・A・R Hondaのジェンソン・バトンは3位を走行中、47周目にマシンをウォールにヒットさせリタイア。佐藤琢磨もレースを最後まで走りきれず、2台ともにレースを完走できなかった。
決勝当日は、朝から薄い雲が上空を覆っている。とはいえ気温は32℃、路面温度も前日の予選時ほどではないものの47℃まで上がっていて、マシンにもドライバーにとっても、過酷なレースになることが予想された。
バトンは自身2度目のポールポジションからスタートしたが、2列目から猛ダッシュしたルノーの2台に1コーナーで先行され、3番手に後退。6番グリッドからスタートの佐藤も、K・ライコネン(マクラーレン)とJ・トゥルーリ(トヨタ)に前に出られ、8番手から追い上げる展開となった。
3回ストップ作戦のB・A・R Honda勢は、まず15周目にバトン、翌周に佐藤が相次いで最初のピットイン。これでそれぞれ6、12番手まで後退する。さらに佐藤は、スタート後に後続車に追突されてマシン後部にダメージを受けたことと、ギアボックスのトラブルのため、22周目に緊急ピットイン。そのまましばらくガレージに入った。
レース折り返し点を過ぎた37周目。その時点でバトンは2回目のピットストップを終え、4番手につけ、前を行くマクラーレンの2台を追走していた。そして次の38周目。トップを走っていたF・アロンソ(ルノー)が、最終コーナーで右リアをコンクリート壁にヒットさせ、緊急ピットイン。そのままリタイアとなった。これでバトンは3番手にポジションアップ。約4秒後ろに迫るM・シューマッハ(フェラーリ)との、3位争いとなった。
その間B・A・R Hondaガレージでは、次のアメリカGPの予選出走順を一つでも上げようと佐藤のマシンの作業を懸命に続け、追突によりダメージを受けたディフューザーやギアボックスなどを27分という短時間で交換。46周目にレースに復帰させた。
レースも終盤に入り、バトンは周回遅れに行く手を阻まれペースを上げられず、M・シューマッハとの差は1.5秒まで縮まっていた。バトンは、そのギャップを広げようとプッシュするが、47周目にタイヤに砂利を拾ってしまったことによるアンダーステアで、最終コーナーの縁石に乗り過ぎてコントロールを失い、アウト側の壁にヒット。右フロントサスペンションを破損させ、リタイアを喫した。
レースに復帰し、走行を続けていた佐藤だったが、レース終盤にリアブレーキのトラブルでスピンを喫し、リタイアとなった。およそ半数のマシンがリタイアとなった厳しいレースを制したのは、K・ライコネン(マクラーレン)だった。
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