イギリスGP2日目予選で、Lucky Strike B・A・R Hondaのジャック・ビルヌーブが9番手を獲得。ビルヌーブ自身としては第4戦サンマリノGP以来、チームとしては第6戦オーストリアGP以来のトップ10内からのスタートとなった。チームメイトのジェンソン・バトンは、アタックラップ開始早々にサスペンションを破損してしまい、コース上にストップ。明日の決勝レースは最後尾からスタートすることになった。
小雨模様の初日から一転、2日目のシルバーストンは朝から晴天に恵まれた。そのため午前中のフリー走行の時点で、すでに路面温度は30℃を超えた。今回はステップアップしたエンジンと空力系を大きく見直した改良型マシンを投入したB・A・R Honda勢は、積極的に周回を重ねていたが、1回目のフリー走行終了直前に、ビルヌーブのマシンにエンジントラブルが発生してしまう。すぐにエンジン交換作業に入ったものの、再びコースインしたのは2回目セッションの終盤になってしまった。午前中のフリー走行で合計19周しか出来なかったものの、それでも13番手のバトンを上回る12番手のタイムを出し、順調な仕上がり見せた。
午後になって雲は多くなったものの、引き続き天候は晴天に恵まれた。予選が始まった時点では、気温25℃、路面温度は37℃まで上がっている。初日予選で13番手だったビルヌーブは、8番目に出走。アタックを開始したビルヌーブは、初日にタイムの伸びなかった最初の区間を良いペースで通過。アタックラップの後半も大きなミスもなく走り切り、1分22秒591で暫定2番手に付けた。
そして開始後35分過ぎに、バトンがコースイン。この時点で、路面温度は39℃まで上がっている。ところが1コーナーを過ぎ、最初の計測地点に向かう直前にスローダウン。そのままマシンをコース脇に止めてしまった。コーナーの路肩を通過した際に、フロントサスペンションを破損させたことが原因だった。
ビルヌーブが出走した後には上位チーム陣を含む12人ものドライバーが控えていたが、終盤に出走したドライバーは強風と高くなった路面温度のせいか、思ったほどペースが伸びない。最終的にビルヌーブは9番手グリッドを獲得。アタックラップを最後まで走り切れなかったバトンは、明日の決勝レースを最後尾からスタートすることになった。ポールポジションはR・バリチェロ(フェラーリ)が獲得した。
●中本修平 エンジニアリング・ディレクター Honda Racing Development 「ジャックは今朝のセッションでエンジントラブルのために大幅に走行時間をロスしてしまったので、トップテン内に入る事が出来て良かったですね。チームの素早い仕事で第2セッションの終了間際には走行を再開出来する事が出来ましたし、予選ではジャックも良く頑張ってくれました。」
●ジャック・ビルヌーブ 9番手 1分22秒591 「嬉しいね。今日の予選は上手く行ったと思う。今年はレースでは良いクルマに仕上がっていても、予選では上手く行かないことが多かったからね。でも、今週末はそのどちらも良いかも知れないね。今朝最初のフリー走行の最後でエンジンが壊れてしまったけれど、チームの皆が頑張ってくれて、素早くエンジンを交換してくれた。2回目のフリー走行では、最後の5分ばかりしか走れなかったけど、それでも何もないのと比べると大きな違いだよ。彼らは、本当に素晴らしい仕事をしてくれたし、他と比べても優れたピットワークの出来るチームの一つであることを見せてくれたよね。一発予選でのマシンの感じも良いし、今朝のロングランでも調子が良かったので、明日の決勝レースも自身があるんだ。昨日とは違うタイヤを使ったんだけれど、それが上手く行ったよね。まだ僕達はフェラーリの後ろにいるには違いないけれど、その差は以前のレースほど大きくないと思う。とにかく、明日は上手く行くと思うよ」
●ジェンソン・バトン 20番手(計測タイムなし) 「マシンの調子はすごく良かっただけに、とても残念だよ。ウォームアップ走行の後で何箇所か調整した結果、高速コーナーでの感触がすごく良くなっていたんだ。コップスやベケッツ・コーナーでのグリップも良く、スピードも出るようになった。予選では常に全開で行かなきゃいけないからと思って、ハンガー・ストレートの手前の最終コーナーも、いつもより更にプッシュしたんだ。その結果、数センチアウト側に膨らんで路肩にいつもと違う角度で当たった瞬間に、バーン!という音がして走行を続けられなくなってしまった。後で見たら左前輪のプッシュロッドが折れていたんだけど、十分高負荷テストを繰り返してあったパーツだっただけに驚いたよ。ここは僕にとってのホームレースだし、今回持ち込んだ新しい改良型のマシンはすごく調子が良かったので、予選でも良いポジションを獲得出来ると思っていたから本当に残念だ。上位グリッドも夢じゃなかったはずなのに、結局明日は20番手からのスタートになってしまった。でもほんの僅かでも出来る事はあるはずだよね。ニュルブルクリンクでは、ハイドフェルドが最後尾からスタートして8位に入賞したわけだし、まだあきらめるのは早い。明日は大仕事になるよ」
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