カナダGPの初日は、午前中から降り出した雨がセッションを通して降り止まず、予選はフルウェット路面のコンディションとなった。Lucky Strike B・A・R Honda勢は、モナコGPの事故から復帰したジェンソン・バトンが14番手のタイム。ジャック・ビルヌーブはアタックラップの最終コーナーでスピンを喫し、大幅にタイムロス。最下位に終わった。
モナコGP2日目に大クラッシュを喫し、決勝レースを欠場したジェンソン・バトン。更に翌週のモンツァテストも大事を取って参加を見合わせたが、前日の木曜日に行われたメディカルチェックでも異常は見つからず、ここカナダGPは予定通り出場した。
朝方は青空が広がっていたものの、午前中のフリー走行の始まる午前11時には、上空はすっかり雲に覆われてしまった。気温もこの時点で19℃と、例年よりやや低い。そしてフリー走行開始後10分過ぎには小雨が降り始め、セッション中盤にはほぼ完全にウェット路面となった。後半になっても雨は降り止まず、B・A・R Hondaの2台はウェットコンディションの中、合計30周以上の走行をこなした。
午後になっても天候は回復せず、初日予選開始前に「悪天候用ウェットタイヤ」の使用が許可された。予選セッションが始まり、最初に出ていったK・ライコネン(マクラーレン)のタイムは1分35秒373。午前中のウェット時のタイムよりかなり遅く、降り続く雨によって路面コンディションは悪化したようだ。しかし、ブリヂストンタイヤにとっては有利なコンディションとも言え、B・A・R Honda勢にとってもチャンスとなった。
ところがバトンが走り出す数分前から、小降りだった雨脚が激しくなる。そのせいか、彼のすぐ前に出ていったG・フィジケラ(ジョーダン)は、大きなミスもなかったにもかかわらず、9人中8番手とタイムが伸びない。10番手出走のジェンソンの時になっても、雨が衰える様子はなかった。アタックを開始したバトンは、スムーズなドライビングに終始。しかし強まった雨脚で路面には多くの水溜りが出来、直線を真っ直ぐ走ることすら難しい状況となった。バトンは最後までスムーズに走り切ったものの、このコンディションでは前半に出走したドライバーが有利となり、暫定7番手タイムが精一杯だった。
一方、終了15分前にコースインしたビルヌーブは、悪コンディションの中、地元ファンの声援に応え、アタックラップ終盤までトップ10に余裕で入れるタイムで会場を沸かした。ところが最終コーナーの立ち上がりで挙動を乱してスピン。上手くコントロールし、マシンの何処にもダメージを与えなかったものの、これで大きくタイムロスして、最下位に落ちてしまう。
結局雨は初日予選中降り続き、最終的にバトンは14番手、ビルヌーブは20番手に終わった。初日トップタイムは、R・バリチェロ(フェラーリ)だった。
●中本修平 エンジニアリング・ディレクター Honda Racing Development 「悪天候の中で、2人共ハードに攻めてくれたと思います。ジャックは、第1、第2区間を通して良いタイムを出していただけに、アタックラップの最後でスピンしてしまい、とても残念です。明日の2日目予選では、我々の速いところを見せたいですね」
●ジェンソン・バトン 14番手 1分38秒109 「コース上はいたるところに水溜りが出来ていたために、タイヤが全然グリップしなくて気が狂いそうだったよ。とにかく1周を無事に走りきることを目指していたんだけど、今日の状況の中ではまずまずの出来だったといっても良いんじゃないかな。我々のマシンがどれだけ競争力があるのかを確認するまでにはいたらなかったけれども、どうやら今週末はウェットになりそうだから、面白くなりそうだね。モナコ以来初めてマシンに乗ることが出来て嬉しかったよ。まだドライでは全然走っていないんだけど、調子は良いよ」
●ジャック・ビルヌーブ 20番手 1分44秒702 「こんなコンディションの中では、そんなに悪い走りではなかったと思う。路面はびしょ濡れで、それで最後にスピンしてしまった。今日のセッションの順位はそれほど重要ではないから、限界を見極めることが大事なんだ。最終コーナーで限界は分かった。きっとお客さんも喜んでくれたと思うよ!タイヤに関しては、ウェットの中でも特に問題はなさそうだから、いっそのこと明日の2日目予選も、今日と同じようなコンディションが続くことを期待するよ」
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